3/17はアレックス・チルトンの命日…名曲「フリー・アゲイン」聴き比べ

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。

3月17日の頁には、こんな出来事が記されていました。

【命日】アレックス・チルトン(ビッグ・スター:2010)

元ビッグ・スターのフロントマンにして、ソロ・ミュージシャンや音楽プロデューサーとしても活動したアレックス・チルトン
2010年3月17日に、心臓発作で急逝しました…。享年59才。

今日は、故アレックス・チルトンを偲んで、彼の名曲「フリー・アゲイン」を取り上げます。

■アレックス・チルトン

アレックス・チルトン(Alex Chilton)。
米メンフィス出身のシンガー・ソングライター、元ビッグ・スターのフロントマンです。

チルトンは10代のときに、ブルー・アイド・ソウルのグループ「ボックス・トップス」のリード歌手としてデビューします。
16才のときにリリースした「The Letter」が全米1位となるなど、アイドル的な人気を博して注目を集めました。


Best of the Box Tops

グループは1970年に解散。チルトンはソロ・アルバムを制作録音しますがお蔵入りとなります(後にリリース)。
そんなときに出会ったクリス・ベルと意気投合し、バンド「ビッグ・スター」を結成します。

バンドは、アルバム「#1 Record」(1972年)でデビュー。
パワーポップの原点とも言うべきこのアルバムは、音楽誌で高い評価を受けるものの、商業的には振るわず…。


#1 Record/BIG STAR

バンドはその後、「Radio City」(1974年)、「Third/Sister Lovers」(1978年)の2枚のアルバムを残して解散。
ただ、そのサウンドは後に、R.E.Mやティーエイジ・ファンクラブ、ザ・ポウジーズらに大きな影響を与えました。


Radio City/BIG STAR

そうしたフォロワー・バンドの存在もあって、90年代に入り不遇のバンド「ビッグ・スター」の再評価が進みます。
1993年にチルトンは、ザ・ポウジーズのジョン・オウアとケン・ストリングフェロウを加え、新生ビッグ・スターとして復活

ライブ活動やアルバム「In Space」(2005年)リリースなどで存在感を示しますが、そんななか突然の訃報が飛び込みます。
2010年3月17日、アレックス・チルトン死去。心臓発作による急逝。59才でした。


In Space/BIG STAR

■フリー・アゲイン

館長ふゆきがアレックス・チルトンを知ったのは、フォロワー・バンドの存在でした。
90年代にパワーポップを盛んに聴いていた頃、彼らが信奉していたのがチルトンそしてビッグ・スターでした。

特に、大好きなバンド「ティーンエイジ・ファンクラブ」(TFC)が1992年、チルトンのカバー「フリー・アゲイン」をリリース。
これが、カバーとは思えないほど、まんまTFCサウンドでした。それほど、チルトンの影響を受けていたということでしょう。


Deep Fried Fanclub/Teenage Fanclub

これをきっかけにして、アレックス・チルトンとビッグ・スターにハマりました。
パワーポップ・ファンの間では、同じように聴き始めたひと、多いんじゃないかな…。

そのチルトンの「フリー・アゲイン」ですが、いくつかバージョンがあります。
オリジナルは、幻のアルバム「1970」に収録されたバージョン。1970年に制作されたもののお蔵入り、1996年になってようやくリリースされたアルバムです。


Free Again: the 1970 Sessions

続いて、チルトンの2枚目のソロアルバム「Bach’s Bottom」に収録されたバージョン。
こちらは1975年にリリースされているので、世に出たのはこのバージョンが最初。同アルバムには2つのバージョンが収録されています。


Bach’s Bottom

■聴き比べ

それでは、アレックス・チルトンの名曲「フリー・アゲイン」。それぞれのバージョンを聴き比べてみましょう。

まずは、アルバム「1970」に収録された「フリー・アゲイン」
カントリー調のサウンドに癒されます…。その後のビッグ・スターにもつながる、甘くメロディアスな「フリー・アゲイン」です。

続いて、アルバム「Bach’s Bottom」に収録されている「フリー・アゲイン(Version 1)」
ジャム・セッションをそのまま収録したようなバージョン。スカやレゲエのテイストもあります。ソロのチルトンは一発録りのような曲が多いんですよね。ビッグ・スターの商業的な失敗を引きずっていたのかもしれません…。

同じくアルバム「Bach’s Bottom」に収録されている「フリー・アゲイン(Version 2)」
Version 1同様に粗い作りですが、力強いギター&ボーカルと相まって、格好いいロック・バージョンに仕上がっています。

このロック・バージョンをカバーしてリリースしたのが、英グラスゴーのバンドティーンエイジ・ファンクラブ(TFC)。
基本はチルトンのVersion 2を踏襲しながらも、ノイジーなギターやブラスを加えて、ポップでロックなTFC版「フリー・アゲイン」に仕上げています。

いい曲ですね、「フリー・アゲイン」
ティーンエイジ・ファンクラブやザ・ポウジーズなどパワーポップ・バンドが信奉したのもよく分かります。

あらためて、アレックス・チルトンに敬意を表します。珠玉のパワーポップを残してくれてありがとう。
3月17日は、そんなチルトンの命日です。その冥福を心からお祈りいたします。

ありがとう、アレックス・チルトン! ありがとう、フリー・アゲイン!

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