こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、ライド「カーニバル・オブ・ライト」!シューゲイザーからルーツロックへ…早すぎた名盤です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。
■ライド
2023年4月、4年ぶりの来日を果たしたライド(RIDE)。
1stアルバム「ノーホエア」(1990年)、2ndアルバム「ゴーイング・ブランク・アゲイン」(1992年)の再現ライブで、往年のファンを熱狂の渦に包みこみました。
いまだ興奮冷めやらぬファンも多いのではないでしょうか…。
そんなファンを再び歓喜させるニュースが飛び込んできました。
それが、3rdアルバム「カーニバル・オブ・ライト」(1994年)と4thアルバム「タランチュラ」(1996年)の再発決定!
両アルバムとも、特別仕様のヴィニル盤(アナログレコード)と同じく特別仕様のCD盤としてリイシューされることになったのです。
Very excited to announce that 'Carnival of Light' and 'Tarantula' will be rereleased on 4th August on vinyl and CD.
'Carnival of Light' has been repressed in transparent glow in dark green and 'Tarantula' comes in transparent orange vinyl, along with three bonus tracks. pic.twitter.com/fqpdAtvgLM
— RIDE (@rideox4) July 11, 2023
これはライド・ファンにはたまらない…。とはいえ、いずれの作品も前作のようなヒットとはなりませんでした。
当時はオアシスやブラーらブリットポップ全盛の頃。ライドのシューゲイザー・サウンドはそのメインストリームに乗れませんでした。
バンド内部にも問題を抱えていました。メンバーの音楽性の違いが鮮明に…特に2人のソングライター、マーク・ガードナーとアンディ・ベルの関係がぎくしゃくし出します。
結局、両者の間に入った亀裂は修復に至らず、4thアルバムをもってバンドは一時、解散することになるのです。
■カーニバル・オブ・ライト
ファンにとっては(そしてバンドにとっても)ほろ苦いアルバムと言えるかもしれません…。
それでも、一時は大ブームを巻き起こしたバンドがさらに音楽的な成長を模索したアルバム。駄作であろうはずがありません。
今日は、そんなアルバム再発を記念して、3rdアルバム「カーニバル・オブ・ライト」(Carnival of Light)を取り上げましょう。
前作「ゴーイング・ブランク・アゲイン」の成功で注目が集まるなかでリリースされた作品。1994年6月にリリースされました。
Carnival Of Light - Green Vinyl(限定LP)
タイトルの「カーニバル・オブ・ライト」は、ビートルズの未発表曲にちなんで名づけられました。
そのタイトル通り、アルバムは60sや70sのクラシック・ロックへのオマージュとも言えるサウンドに満ちあふれています。
アルバムは、ライド版ラーガロックとも言うべき「Moonlight Medicine」やバーズ風の「1000 Miles」で新たなサウンドを拓きます。
さらに「From Time To Time」や「How Does It Feel To Feel」といった、60sロックど真ん中のようなギターロックも披露。そもそも後者は、60年代に活躍したザ・クリエーションの楽曲のカバーです。
Carnival Of Light - Replica LP Sleeve(限定CD)
他にもストーンズやフォークロック調の楽曲もあり、彼らの音楽的な嗜好が解き放たれたようなアルバムになっています。
しかし同アルバムに対する専門家の評価は芳しくありませんでした。同様に、前作の流れを期待したファンも落胆しました。
いま聴くととっても良いアルバムなのにとても残念…。人気絶頂だっただけに、趣味に走るのは少し早かったのかな…。
だから、逆に本作が再発されて、いまこのアルバムを聴くのが一番いいのかも。あらためてこのアルバムと楽曲の良さに気づかされます。
シューゲイザーからルーツロックへ…。ライドの「カーニバル・オブ・ライト」は早すぎた名盤と言えるかもしれません。
■個人的なおススメ
それでは、そんなライド「カーニバル・オブ・ライト」から、個人的なおススメを紹介しましょう。
まずは1曲め、「Moonlight Medicine」。
いきなり不穏に鳴り響くシタールの音色…。そこに重なるエレキギターとオルガンの音…。
タイトル名や歌詞を含め60sのサイケデリックな世界観が散りばめられています。これが、前作で一大ブームを巻き起こした人気バンドのサウンドか…。
もはや前作の踏襲など眼中になし、自分たちの好きなロックをやる…。そんな意思が現れたナンバー。名曲です。
続いて3曲め、「From Time To Time」。
2曲め「1000 Miles」でバーズ風のフォークロックを披露、さらにルーツロック志向を鮮明にした彼ら。3曲めは英ロックの王道を受け継ぐギターロックを持って来ました。
これが最高にカッコいい…。ソリッドなギターのリフに印象的なオルガンの音色。こんな武器、いつ身に着けたんだろう…。
このアルバムのリリース前にシャーラタンズとライブを行ったりしているので、その影響もあるのかも。ライブで演奏してもらいたい名曲です。
そして8曲め、「How Does It Feel To Feel」。
シングルカットもされた、ザ・クリエーションのカバー曲。これがめちゃくちゃカッコいい…。
ヘヴィーなサウンド、轟音ギターも垣間見られます。そして何よりも、マークとアンディのダブル・ボーカル!痺れます。
ビートルズ解散前のレノン&マッカートニーの「Two Of Us」のような、2人のソングライターの決裂直前の奇跡のユニゾン…。これもぜひライブで演ってほしい…。
いやぁ、すばらしいアルバムですね、ライド「カーニバル・オブ・ライト」。
名曲ぞろい、アルバム全体としても60sや70sロックへのオマージュに満ちていて、聴きごたえがあります。
これがメディアから不評だったというのは何とも理解しがたい…。
当時勃興していたブリットポップのムードには合わなかったのかな。前作までの勢いがあまりに凄かったから期待も大きすぎたのかもしれません。
本作の再発でそうしたネガティブな評価が払拭されて、ライドの新たな魅力を知る人が増えてくれるといいな…。
そして願わくは、3rdアルバム「カーニバル・オブ・ライト」再現ライブを…。きっと盛り上がると思うんだけど。
ありがとう、ライド! ありがとう、「カーニバル・オブ・ライト」!