こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、ボーカリスト交代の危機を乗り越えた傑作!ヴァン・ヘイレン「5150」です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。
■今日は何の日
1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
1月26日の頁には、こんな出来事が記されていました。
【誕生日】エディ・ヴァン・ヘイレン(ヴァン・ヘイレン:1955)
そうでしたか…。偉大なるギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレンの誕生日。
本当は、今日(2023年1月26日)で68歳になってたんですね…生きていれば。
1955年1月26日、エドワード・ヴァン・ヘイレン(Edward Van Halen)は、オランダのナイメーヘンで生まれました。
1967年に、オランダからアメリカのカリフォルニア州に移住。
アメリカ移住後にテレビで観た「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」の影響で、弟のエディがドラムを、兄のアレックスがギターを始めました。
しかし程なくして、兄アレックスのほうがドラム技術が上達します。そこで「仕方なく」楽器を交換して、エディはギターに打ち込むことになりました。
その後、兄弟でバンドを結成すると、いくつかの変遷を経て、自分たちの名前を冠した「ヴァン・ヘイレン」を結成。
特に、エディのライトハンド奏法と呼ばれるギターテクはロック・シーンに衝撃を与え、世界中にその名を知られるビッグ・バンドとなりました。
■5150
今日は、そんなヴァン・ヘイレンの数ある大ヒットアルバムの中から、このアルバムを取り上げましょう。
1986年にリリースした、通算7作目となるアルバム「5150」です。
前作「1984」が記録的なヒットを挙げるなかで、当時バンドは一大転機を迎えていました。
カリスマ的な人気を誇っていたボーカルのデイヴィッド・リー・ロスが脱退…。
バンド存続を左右するこの事態に、エディは、当時ソロ活動をしていた元モントローズのサミー・ヘイガーに声をかけます。
サミーが快諾すると、新生ヴァン・ヘイレンが始動。プロデューサーにフォリナーのミック・ジョーンズを起用して、作り上げたアルバムが「5150」でした。
アルバム「5150」は、バンド初となる全米1位を3週連続で獲得。(「1984」は最高位2位でした。)
ヴァン・ヘイレンは、バンド存続の危機を乗り越え、ロック史の中でおそらく最もシームレスにボーカリスト交代を成し遂げたのです。
■個人的なおススメ
それでは、そんな新生ヴァン・ヘイレンのアルバム「5150」の中から、個人的なおススメです。
まずは1曲め、「グッド・イナフ」(Good Enough)。
サミーの「Hello,baby」という掛け声から始まるロック・ナンバー。
冒頭からエディのギターが縦横無尽に駆け巡ります。もちろんリズムを刻むのは兄アレックスのドラムと盟友マイケル・アンソニーのベース。
そして新加入サミーの伸びやかでストレートなボーカルが、新生ヴァン・ヘイレンに新たな魅力を吹き込みます。
より硬派なヴァン・ヘイレンへ…。新生ヴァン・ヘイレンの挨拶代わりとも言うべきオープニングナンバーです。
続いて2曲め、「ホワイ・キャント・ディス・ビー・ラヴ」(Why Can't This Be Love)。
イントロは迫りくるようなビート音…。そしてギターとシンセが鳴らされると、一気にボルテージが上がります。
実は、サミー加入がもたらした副次的な効果は、エディが他楽器も演奏できるようになったこと。サミーがギターも弾けるので、この曲などでエディはキーボードも弾けるようになりました。新生ヴァン・ヘイレンは、楽曲もライブも演奏の深みが格段に増したのです。
この曲は、新生ヴァン・ヘイレンの最初のシングルとしてリリースされ、全米3位となるヒットを挙げました。
そして7曲め、「ラヴ・ウォークス・イン」(Love Walks In)。
これも新生ヴァン・ヘイレンの魅力の一つ、美しいバラード・ナンバーです。
この曲は、サミー・ヘイガーとエディらバンドメンバーが初めて共作したナンバーとされます。
サミーのエモーショナルなボーカルと、間奏の空に響くようなギター・ソロ。感動的なナンバーです。
すばらしいアルバムです。ヴァン・ヘイレン「5150」。
それまではデイヴの派手なボーカルが目立っていましたが、やはりこのバンドの魅力はエディのギターをはじめとしたソリッドな演奏力にあります。
そのことを、あらためて知らしめたアルバムと言えるでしょう。傑作です。
なお、エディ・ヴァン・ヘイレンは、2020年10月6日、 長年に及ぶガンとの闘病の末に65歳で死去。
その魂は、「5150」をはじめとした作品に刻まれ、いまもロック・ファンを魅了しています。
ありがとう、エディ・ヴァン・ヘイレン! ありがとう、「5150」!