こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、英ロックバンド「ザ・コーラル」の10作目となるアルバム、「コーラル・アイランド」をとり上げます。
■ザ・コーラル
英リヴァプール出身の5人組ロックバンド、ザ・コーラル。
彼らの通算10作目となるアルバムが届きました。それが今日紹介する「コーラル・アイランド」です。
彼らを知るきっかけとなったのは、オアシスのノエル・ギャラガーでした。
彼が大好きなバンドとして、ザ・コーラルを挙げていたんですよね。
バンド側は当初「口の悪いオアシスから褒められてもうれしくない」と迷惑顔でしたが(苦笑)、後に仲良しになったみたいです。
そんなことから彼らを知ってアルバムを聴いたらもう…。すっかりハマりました。
バンドの結成は1996年。地元リヴァプールなどで地道なライブ活動を続け、2002年にアルバム「The Coral」でデビューします。
すると、英国らしい少し翳あるサウンドとストレートなギター・ロックで注目を集めます。
続く「Magic and Medicine」(2003年)は全英1位を獲得、一躍人気バンドの仲間入りを果たしました。
さらに、「Nightfreak and the Sons of Becker」(2004年)、「The Invisible Invasion」(2005年)と骨太なアルバムを次々とリリースし、その実力の高さを知らしめました。
■コーラル・アイランド
そんな彼らが、前作「Move Through the Dawn」(2018年)から3年弱を経て、通算10枚目となるアルバムをリリースしました。
それが2枚組となるコンセプト・アルバム「コーラル・アイランド」です。
コンセプト・アルバムというと、彼らのサウンドにも影響がみられる、ザ・キンクスが思い浮かびます。
本作は、キンクスの「ヴィレッジ・グリーン」や「ソープ・オペラ」にも通じる、物語のようなアルバムになっています。
メンバー自身の移動遊園地の記憶とファンタジーにインスパイアされたという新作は、ナレーションも含めて2枚組全24曲。
1枚目が夏の賑やかな海沿いの街を描いたもので、2枚目は寒い冬に島で暮らす登場人物たちの生活を描いたものとなっています。
前半と後半では、物語も曲の風景もがらりと変わります。
このコンセプトが、ザ・コーラルの魅力を大きく引き出すことに成功しました。
もともと、ザ・コーラルは作品ごとに音楽の幅を広げていきました。
時にはフォーク、時にはカントリー、時にはサイケデリック、もちろん王道のブリティッシュ・ロックにAORまで。
そうした彼らの多様な音楽性が、アルバムのコンセプトに見事にハマりました。
曲ごとに異なる物語をそれぞれに合ったサウンドで彩ると、そこに独特な「コーラル・アイランド」の世界観をつくり出しました。
■個人的なおススメ
それでは、そんなザ・コーラルのコンセプト・アルバム「コーラル・アイランド」から、個人的なおススメです。
ますは、Disc1の2曲め「Lover Undiscovered」。
1曲めのナレーション「Welcome to Coral Island」から続く、実質的なオープニング・ナンバー。
アコースティックでリズミカルなサウンドに、エレキ・ギターと粘っこいボーカルが重なります。
サビのメロディとギター・ソロは聴きどころ。ブリティッシュ・ロック好きならたまらないポップ・ロックです。
続いて、Disc1の6曲め「Vacancy」。
独特なキーボードの音色に弾むベース、ジェイムズ・スケリーの渋い歌声が絡みつきます。
途中音調が変わる辺りなんか、オールディーズかと思ってしまうほどレトロなテイストを醸し出します。
「移動遊園地の記憶とファンタジー」というコンセプトに相応しい、懐かしいサウンドです。
そして、Disc2の3曲め「Faceless Angel」。
Disc2は、ポップなDisc1から一転して、おどろおどろしい「The Ghost of Coral Island」というナレーションで始まります。
その流れを象徴するようなナンバーがこの「Faceless Angel」。賑やかな夏から寒い冬へ、その情景の変化をまざまざと見せつけられます。
ジェイムズの翳のあるボーカルは、冬バージョンのほうが合っているな…。独特なキーボードとギターも、怪しげに響きます。
やるなぁ、ザ・コーラル。いまの時代、こんなコンセプト・アルバムをつくるなんて、やはり英国ロックの系譜を継ぐバンドです。
ブリティッシュ・ロック好きなひとは、今からでも遅くない。さあ、「コーラル・アイランド」へ。Welcome to Coral Island…。
ありがとう、ザ・コーラル! ありがとう、「コーラル・アイランド」!