ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」50周年記念盤

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、ジョージ・ハリスンの名盤「オール・シングス・マスト・パス」50周年記念盤です。

■ジョージ・ハリスン

ジョージ・ハリスンが1970年に発表した名盤「オール・シングス・マスト・パス」
2021年で発売50周年となるのを記念して、未発表のデモやアウトテイクなどを収録した50周年記念盤がリリースされました。


オール・シングス・マスト・パス(50周年記念盤)

「オール・シングス・マスト・パス」は、ビートルズ解散後に制作された3枚組のスタジオ・アルバム。
ジョージがソロ・アーティストとして、その才能を大きく解き放った作品です。

ジョージは、アーティストとしては遅咲きと言える人でした。
ビートルズでは、ジョン・レノンとポール・マッカートニーに次ぐ3番目のシンガーソングライター。ビッグな2人の影に隠れ、線の細い印象は拭えませんでした。

そんな彼の才能が開花したのは、ビートルズ後期になってから
「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」や「サムシング」などの名曲を次々と生み出しました。

それでも、3番目という立ち位置は変わりません。そもそもジョンとポールが凄すぎる…。
ジョージがどれほど曲を書いても、ビートルズの曲として採択されることは多くありませんでした。

■オール・シングス・マスト・パス

そんなジョージが、抑えられていた才能を解き放つように、3枚組というソロ作品をリリースしたのは必然だったのかもしれません。
収録曲の多くはビートルズ時代に書かれ、アルバムに収録されることなく埋もれていた曲でした。

タイトル曲「オール・シングス・マスト・パス」や「イズント・イット・ア・ピティー」「レット・イット・ダウン」「ヒア・ミー・ロード」は、1969年1月のゲット・バック・セッションでも演奏されていました。
シングルカットされ大ヒットした「マイ・スウィート・ロード」や「美しき人生」もビートルズ時代に書かれていたものです。


オール・シングス・マスト・パス50周年記念3CDデラックス・エディション

今回リリースされた50周年記念盤に収録されているデモ・テイクは、そうした埋もれた楽曲群が解き放たれる瞬間を刻んだ貴重な音源です。
どれも完成度が高いんですよね…。ジョージにしてみたら、早く出したかったのに出せなかった曲のストック。量も質も申し分ありません。

このデモ・テイクと同じくらい魅力的なのが、50周年記念盤のためにリミックスされたオリジナル収録曲
もともとジョージは、当時施した分厚い音づくりから「いくつかの曲を解放したい」という思いを明かしていました。

過度のリバーブや多重録音が好きではなかったんですね。その願いをかなえたのが、息子のダニー・ハリスンです。
エグゼクティブ・プロデューサーを務めた彼は、大量のオリジナル・マスターテープを掘り起こし、全曲をウルトラ・リマスタリングという技法でリミックスし直しました。


オール・シングス・マスト・パス50周年記念スーパー・デラックス・エディション

実際に曲を聴くと、ジョージの声がこれまで以上に前面に出てるんですよね。ライブ感が増した感じ。
こうして過去の楽曲群を「解放」するという大仕事を成し遂げたダニー。彼は、「アイド・ハヴ・ユー・エニタイム」のリミックスを初めて再生したとき、思わず号泣したそうです。
そりゃそうだよね…。ジョージ・ハリスンは、2001年11月に天に召されました。享年59歳…。

■個人的なおススメ

それでは、ジョージ・ハリスンの「オール・シングス・マスト・パス」から、個人的なおススメを紹介しましょう。

まずは2曲目、「マイ・スウィート・ロード」
ジョージの代表曲。イントロのアコースティック・ギターから、印象的なエレキ・ギターのフレーズへ。
クリシュナ神への信仰を歌詞にしたオリエンタルな世界観ですが、音は米南部の香りがただようスワンプ・ロック
この独特なサウンドは、まさに才能を解き放ったジョージならでは。シングルカットされて、全米・全英ともにNo.1を獲得しました。

続いて5曲目、「美しき人生」(原題:What is Life)
大胆にブラスセクションを施したポップなナンバー。こちらもシングルカットされ大ヒットしました。
50周年記念盤にはブラスセクションの入っていないデモテイクも収録されています。
そのバージョンを聴くと、あらためてこの曲のメロディの良さが分かります。ジョージのポップセンスが花開きましたね。

そして、アルバムのタイトル曲「オール・シングス・マスト・パス」
ジョージの精神的な境地を表現しているかのような、やさしくも深いバラードナンバーです。歌詞はこんな感じ。

Sunrise doesn't last all morning
A cloudburst doesn't last all day
…All things must pass
All things must pass away
晴れ渡る日はずっと続かない
曇り空もずっと続くわけじゃないさ
…全ては過ぎ去っていく
全ては過ぎ去っていくんだ (ふゆき訳)

東洋思想から影響を受けたジョージならではの世界観
歌詞も歌声も胸に刺さります。スライドギターの音色が印象的な名曲です。

50年の時を経て、ジョージの歌が帰って来ました。しかも、ライブ感を増した新しいサウンドで…。
ジョージの魅力をあらためて確認できる50周年記念盤、「オール・シングス・マスト・パス」でした。

ありがとう、ジョージ・ハリスン! ありがとう、「オール・シングス・マスト・パス」!

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