こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、たった1枚のアルバムがつむぐタイムレス・メロディ「ラーズ」(The La's)です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。
■ラーズ(The La's)
今日とり上げるのは、たった1枚のアルバムで多くの音楽ファンを魅了したバンド…。
ザ・ラーズ (The La's)。今や伝説のように語られるロックバンドです。
バンドは1984年、英リヴァプールで結成されました。
中心メンバーは、ギター&ボーカルのリー・メイヴァース(Lee Mavers)とベース&ボーカルのジョン・パワー(John Power)。
この2人を中心に何度かメンバーチェンジを経て、1987年にシングル「ウェイ・アウト」(Way Out)でデビューします。
この曲は、ザ・スミスのモリッシーら一部から高い評価を受けたものの、セールス的には振るいませんでした。
それでも彼らは、精力的にライブ活動を続けました。すると、その音楽性や出自から、あるバンドを引き合いに注目を集めるようになります。
そう…リヴァプール出身のバンド、ビートルズ。それを決定づけたのが、1988年にリリースされた2ndシングル「ゼア・シー・ゴーズ」(There She Goes)でした。
美しいメロディ、感傷的な歌詞、懐かしいマージービート…。偉大なバンドを彷彿させるサウンド。
バンドは本格的なアルバム制作に入りますが、ここでバンドのフロントマン、リー・メイヴァースの偏屈ぶりが発揮されます。
3rdシングル「タイムレス・メロディ」の発売直前になって突然、その出来に納得がいかないとしてリリースをキャンセルします。
さらにアルバムも何度も録り直され、いつまで経っても完成することはありませんでした。
業を煮やしたレーベル側は、名プロデューサーのスティーブ・リリーホワイトを迎えてアルバムを完成させます。
そうして出来たのが、アルバム「ラーズ」(1990年)です。バンドが拒否する中でのリリースとなりました。
このレーベル側の行為に対しリーは激怒。自らのアルバムにもかかわらず「買うな」と、不買活動を主導します。
しかし、そんなリーの思惑をよそに、アルバムはファンや評論家らに強い支持を受けました。
「ゼア・シー・ゴーズ」(再発)、「タイムレス・メロディ」、「フィーリン」などのシングルを相次いでリリース。
ラーズとその同名アルバムは、音楽シーンに強いインパクトを与えました。
■個人的なおススメ
それでは、ラーズのバンド名を冠したアルバム「ラーズ」(The La's)から、個人的なおススメを紹介します。
まずは5曲め「ゼア・シー・ゴーズ」(There She Goes)。
彼らと出会ったのは、FMで流れていたこの曲でした。その美しいメロディにしばし聴き惚れたことを覚えています。
イントロのアコースティック・ギターからリーの歌声まで、甘く切なく響く名曲です。
続いて3曲め「タイムレス・メロディ」(Timeless Melody)。
その名の通り、時を越えて奏でられるやさしいメロディです。
厚い音のつくりはスティーブ・リリーホワイト流かもしれないけど、これはこれで良い。リーさん、そんなに批判しなくても…。
そして7曲め「フィーリン」(Feelin’)。
ロカビリー調の一風変わった名曲。リーの少ししゃがれた声が曲調にぴったりマッチしています。
ギターの音色も心地いい。ストリートで聴きたいロッキン・ポップです。
いやぁ、名曲揃いだわ、ラーズ。たった1枚のアルバムでここまで鮮やかに印象を残すとは…。
その後のラーズですが、2005年に突如再結成すると発表すると、イギリスやアイルランドでライブを行います。
その年のサマーソニックにも来日して、なんとトリを務めています。しかしそれも長続きせず、再度活動休止状態に…。
ちなみに、盟友ジョン・パワーはバンド「キャスト」(Cast)を結成し、今も音楽活動を継続しています。
それはそれで嬉しいのですが、ファンとしてはやはりもう一度ラーズをやってほしい…。僕らは、たった1枚のアルバムがつむいだ「タイムレス・メロディ」を聴きたいのです。
ありがとう、ラーズ! 「ゼア・シー・ゴーズ」「タイムレス・メロディ」をもう一度…。