ビートルズ最後のアルバム「レット・イット・ビー」スペシャル盤

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、ビートルズの最後のアルバム「レット・イット・ビー」のスペシャル・エディション(スーパー・デラックス)です。

■「レット・イット・ビー」オリジナル盤

ビートルズの最後のオリジナル・アルバム「レット・イット・ビー」
2021年10月、そのスペシャル・エディション(スーパー・デラックス)がリリースされました。

オリジナルのアルバム「レット・イット・ビー」は、1970年5月にリリースされています。
その前月にポールが脱退宣言をし、ビートルズは事実上解散。このアルバムは、ビートルズ最後のアルバムとなりました。


レット・イット・ビー

ただ、そうした結果とは真逆に、このアルバムのもともとの制作意図は、ビートルズというバンドの絆を復活することにありました。
前作までにメンバー間の不和が顕在化していたビートルズ。これに危機感を覚えたポールの発案で、コンサートをやろう、原点に回帰しよう(ゲット・バック)というコンセプトで、アルバムの制作が始まりました。

「ゲット・バック・セッション」と呼ばれたこのセッションは、1969年1月に行われ、アップル本社屋上で行われた伝説のルーフ・トップ・コンサートまで、大量の音源が収録されました。
しかしながら、一度亀裂の入ったメンバー間の絆が元通りになることはありませんでした。

バンドはこの後、同セッションから予定していたアルバム「ゲット・バック」のリリースを凍結
その代わりに急遽、アルバム「アビイ・ロード」を制作して1969年にリリースしますが、解散への道筋を止めることはできませんでした。

ゲット・バック・セッションの音源は、フィル・スペクターの編集によって1970年5月に「レット・イット・ビー」としてリリースされます。
「ゲット・バック」(元に戻ろう)から「レット・イット・ビー」(なすがまま)へ。そのアルバムは、ビートルズのラスト・アルバムとなりました。

■「レット・イット・ビー」スペシャル・エディション

それから51年の時を経て、アルバム「レット・イット・ビー」が帰って来ました
それも、ゲット・バック・セッションの貴重な音源などを追加したスペシャル・エディションとして。

様々なパッケージが用意されていますが、最も充実したスーパーデラックスのラインナップは次の通り。
Disc1:オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス
Disc2:ゲット・バック アップル・セッションズ
Disc3:ゲット・バック リハーサル・アンド・アップル・ジャムズ
Disc4:ゲット・バックLP 1969グリン・ジョンズ・ミックス
Disc5:レット・イット・ビーEP


レット・イット・ビー(スペシャル・エディション/スーパー・デラックス)

おそらく、ビートルズのコアなファンにとって最大の注目は、Disc4「ゲット・バックLP 1969グリン・ジョンズ・ミックス」でしょう。
これは、原点回帰のコンセプトのもと、オーバーダビングなどの編集をせずライブ感そのままに、気鋭のエンジニアのグリン・ジョンズがまとめ上げたもの。

しかし当時、出来上がったテスト盤にビートルズの4人が満足せずに、リリースを見送り、凍結となった音源です。
以前(2003年)、「自然なまま」(=ネイキッド)のミックスを施した「レット・イット・ビー・ネイキッド」がリリースされましたが、こちらの方がよっぽどネイキッド。


レット・イット・ビー・ネイキッド

賛否両論はあると思いますが、「ゲット・バック」(原点に戻ろう)のコンセプトに近いのは、このグリン・ジョンズ・ミックスなのでしょうね。
本編ではカットされた2曲めの、「セイブ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー」から「ドント・レット・ミー・ダウン」への流れなんか鳥肌もの。別テイクを採用している「アイヴ・ガッタ・ア・フィーリング」や「ゲット・バック(Reprise)」などもジャム感たっぷりです。

ビートルズのライトなファンにとっても、このスペシャル盤は聴きどころ満載です。
何しろ、「レット・イット・ビー」「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」など、大ヒット曲も収録されています。

そのアウトテイクはもちろん、リマスターされた音源を聴けるだけで、すごく幸せな気持ちになります。
さらに、後の「アビイ・ロード」に収録される「サムシング」や「ポリシー・パム」「オー・ダーリン」などの初期のバージョンを聴けるのも嬉しいですね。


アビイ・ロード

後のジョージのソロに収録される「オール・シングス・マスト・パス」や、同じくジョンの「ギミ・サム・トゥルース」、ポールの「テディ・ボーイ」も収録されています。
もはや、ビートルズというバンドの範疇では収まり切らない才能が、4人に迸っていたんでしょうね…。

もしかしたら、解散は必然…。というか、彼らの音楽の才を解放するためには必要なプロセスだったのかもしれない。
そんな風に感じられる、「レット・イット・ビー」スペシャル・エディション。ビートルズ最後のアルバムでした。

■個人的なおススメ

それでは最後に、「レット・イット・ビー」スペシャル・エディションから、個人的なおススメです。
グリン・ジョンズ・ミックスやアウトテイクから選びたい気持ちもありますが、オリジナル・アルバムのリマスターも最高だったので、こちらから選びましょう。

まずは1曲め、「トゥー・オブ・アス(2021 Mix)」
この曲は、好きすぎてしょうがないんですよね…。
美しいアコースティック・ギターの音色やメロディはもちろんですが、やはりジョンとポールのツイン・ボーカルがたまらない…。
僕らには思い出がある。一緒に家に帰ろう…。この2人(Two of Us)に、ポールとジョンを重ねてしまうのは、私だけではないでしょう。名曲です。

続いて6曲め、「レット・イット・ビー(2021 Mix)」
言わずと知れた超名曲。説明は不要でしょう…。
ポールのメロディ・メイカーとしてのセンスが爆発。あまりの名曲ぶりに、当初「ゲット・バック」であったアルバム・タイトルも「レット・イット・ビー」になりました。
シングル・バージョンと異なり、アルバム・バージョンは間奏でジョージのワイルドなギターが鳴り響きます。個人的にはこっちの方が好き。

そして8曲め、「アイヴ・ガッタ・ア・フィーリング(2021 Mix)」
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」や「ゲット・バック」などのシングル曲を押しのけて、個人的に選んだのはこちらの曲「アイヴ・ガッタ・ア・フィーリング」。
ポールとジョンの音楽の遊び心がさく裂したナンバー。同じ曲のなかに、二つの曲が同居してるかのよう。
ちょっと形式は違うけど、「We Can Work It Out」なんかもそうだよね。レノン・アンド・マッカートニーの魅力が最大限に発揮されたロック・ナンバーです。

それにしても、ラスト・アルバムにしてこのクオリティ…
やはり、ロック史に燦然とその名を刻むバンド、ビートルズですね。

このスペシャル盤を聴いて、あらてめてその魅力にぞっこんとなりました。
これで、「サージェント・ペパーズ~」から続いた50周年アニバーサリー・シリーズはひと段落。
でも、すぐデビュー60周年が控えてるんだよね…。ビートルズ・ファンには、まだまだ楽しみが待っていそうです

ありがとう、ビートルズ! ありがとう、レット・イット・ビー!

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