ようこそ極彩色のポップワールドへ…XTC「オレンジズ・アンド・レモンズ」

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳。
11月11日は、この人の誕生日でした。

【誕生日】アンディ・パートリッジ(XTC:1953)

英バンド「XTC」の中心人物、アンディ・パートリッジ。2021年11月11日で、なんと御年68歳…。
今日の夢中は、そんな彼の誕生日を記念して、XTCが1989年に放った名盤「オレンジズ・アンド・レモンズ」をとり上げます。

■XTC

XTC(エックス・ティー・シー)は、英スウィンドンで結成されたロック・バンドです。
バンド名は、「Ecstasy」をもじって、アンディ・パートリッジがつけました。

1977年にEP「3D」でデビューすると、翌1988年にデビューアルバム「ホワイト・ミュージック」で注目を集めます。
初期の彼らは、当時勃興していたパンク・ムーブメントの波に乗った、ニューウェイブ系のパンク・バンドでした。


ホワイト・ミュージック

そのサウンドが変化を見せたのは、1982年にリリースした5thアルバム「イングリッシュ・セツルメント」から。
それまでの尖鋭的なパンクロックから、ビートルズ由来のポップなサウンドに大きく転換しました。


イングリッシュ・セツルメント

奇しくも、このアルバムの発表と共に、バンドはライブ活動を完全に中止
スタジオアルバムに集中することとなった彼らは、さらにポップ路線を突き進んでいきます。

もともと、アンディには天性のソングライティングの才がありました。それも一筋縄でいかない、ひねりの効いたポップセンスが…。
これが、ライブ中止による「ロック引きこもり」現象により一気に花開きます。ちなみに、ライブを取り止めたのは、アンディのステージ恐怖症が原因でした…。

■オレンジズ・アンド・レモンズ

そんなアンディが紡ぎ出すポップワールドの一つの到達点と言えるのが、「オレンジズ・アンド・レモンズ」です。
1989年にリリースされた、通算9枚目となるスタジオアルバム。アンディのポップセンスが凝縮された名盤です。


オレンジズ・アンド・レモンズ

前作「スカイラーキング」(1986年)でプロデューサーのトッド・ラングレンと大いに衝突したアンディ…。
2人とも筋金入りのポップ職人だから相譲れなかったんでしょうね…。同作も名盤なんですが、アンディにとってはしこりの残るアルバムとなりました。


スカイラーキング

それから3年の時を経て、制作が進められたのが「オレンジズ・アンド・レモンズ」です。
これがもう…前作の鬱憤を晴らすかのように、アンディのポップセンスが爆発。ほとばしるポップ愛を惜しみなく注ぎ込みました。

ビートルズ直系のキラー・メロディ、ひねりの効いた独特な歌詞、サイケデリックなサウンド・アレンジ…。
ポップセンスを解き放ったその先には、なんとも彩り豊かな(極彩色と言っていいかもしれません…)ポップワールドが広がっていました。

ジャケットのデザインからして、ビートルズのイエロー・サブマリンの世界…。
ただ、ビートルサウンドを踏襲しながらも、独特なXTCサウンドに仕上げているのは、アンディならでは。


Unplugged In The USA '89

その言動などから「ひねくれ者」という評価がつきまとうアンディですが、音楽に対する姿勢はものすごく真摯なんですよね。
だからトッドとも衝突したし、単なるビートルズフリークが創るサウンドにはしたくなかったんでしょう。ほんと一筋縄ではいかないポップ魔神です…。

今日(11月11日)は、そんなアンディ・パートリッジの誕生日。
彼のポップセンスが爆発したXTCの名盤「オレンジズ・アンド・レモンズ」を聴いて、さらなる健康長寿をお祈りしましょう。

■個人的なおススメ

それでは、XTCの名盤「オレンジズ・アンド・レモンズ」から個人的なおススメです。

まずは、1曲め「Garden Of Earthly Delights」
いきなり極彩色のポップワールド全開!サウンドはオリエンタル・ミュージックと英国伝統ポップの融合、歌詞は摩訶不思議なテイスト。
「ようこそ、地上の楽園へ。ようこそ十億一夜のアラビアン・ナイトへ」。ポップ魔神アンディの魅力をたっぷり堪能できるオープニング・ナンバーです。

続いて、2曲め「Mayor Of Simpleton」
ビートルズの黄金メロディを受け継ぐ極上のポップソング。メロディもそうだけど、ベースの旋律なんてポール・マッカートニーもにんまりするんじゃないかしら?
タイトルも「おバカさんの市長」のような意味で「何それ?」ですが、歌詞を聴くと…。大学なんて全く縁がない、数学なんて大嫌い、「But I Know One Thing And That's I Love You」(だけど一つだけわかっていることがあるんだ。それは君が好きってことさ)
シングルカットされて、めずらしく(?)スマッシュヒットとなりました。

そして、5曲め「The Loving」
これまた、アンディのポッポセンスがさく裂したポップソング。アルバム中唯一と言っていいシンプルなタイトル「The Loving」(愛)。
愛の大切さを訴えるバラードナンバーですが、やっぱり一筋縄でいかない。冒頭や曲中に歓声が挿入されていて、ライブ仕立ての味付けをしています。
たくさんに聴衆に「愛が必要なんだと」とアンディが歌い伝える姿が目に浮かびます。ラブ・アンド・ピースはロックの原点ですからね。

いやぁ、聴き込めば聴き込むほど、そのカラフルなポップワールドにハマっちゃう…。
アンディ・パートリッジの底知れるポップの才能に痺れます。誕生日おめでとう、アンディ!
XTCは活動休止状態になっていますが、奇跡の再結成、奇跡の新譜なんてサプライズを期待したい…。そんなバンド、XTCの名盤「オレンジズ・アンド・レモンズ」でした。

ありがとう、XTC「オレンジズ・アンド・レモンズ」! 誕生日おめでとう、アンディ・パートリッジ!

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