こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、ASH(アッシュ)新譜「Race the Night」!"恐るべき子供たち"は今もヤンチャなままに…です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。
■ASH(アッシュ)
今日紹介するのは、北アイルランド出身のロックバンド、ASH(アッシュ)です。
1994年にミニアルバム「トレイラー」で注目を集めると、翌1995年リリースのシングル「カンフー」「ガール・フロム・マーズ」で一気にブレイクします。
勢いそのままリリースされたアルバム「1977」(1996年)は、デビューアルバムにして全英1位、プラチナ・ディスクを獲得。
当時まだ10代だったバンドは、若さあふれる爆裂ギターを奏で、メディアから「恐るべき子供たち」なんて評されたりしました。
この絶頂期から、数々の音楽的なチャレンジや女性ギタリストの加入・脱退など浮き沈みを経て、バンドは今に至っています。
ちなみに初来日時(1995年)は、宿泊したホテルの一室を破壊するというヤンチャぶりを発揮しました。
そんな彼らもついに40代後半に入りました。「恐るべき子供たち」も今や立派なオヤジです。
そして2023年9月、40代後半を迎えて初となるASH(アッシュ)のアルバムがリリースされました。それが「Race the Night」です。
前作「アイランズ」(2018年)から5年ぶり、通算8枚目となるアルバムです。
果たして、オヤジになったASH(アッシュ)は落ち着いちゃっているのか。サウンドは年相応に丸くなっているのか…。
…なんて心配はまったくの杞憂でした。一聴して、これが活動歴30年の重鎮バンドかと驚くほどの若々しいロックチューンが満載。
パワフルなロックアンセム「Race the Night」から往年のパワーポップ全開「Usual Places」、重厚なハードロック「Like A God」まで…。多彩にして瑞々しい楽曲群に圧倒されます。
まるで、ここに来てティーンエイジャーのASH(アッシュ)に戻ったみたい…。ティムは新譜について次のようにコメントしています。
「隔離されて離れ離れになっていた2020年代初頭の狂った世界を生き延びて、改めてバンドとして再会した喜びを体現。このアルバムにはそんなサウンドが満載されてる」。
あの暗く辛いパンデミックを経て、いまのASH(アッシュ)の音があるんですね…。たしかに、そんな解放感や自由の喜びに満ち溢れています。
それは、かつて自由を謳歌した"恐るべき子供たち"から、今の辛い時代を生きるティーンエイジャーへの熱いエールなのかもしれません。
■個人的なおススメ
それでは、そんなASH(アッシュ)の新譜「Race the Night」から、個人的なおススメです。
まずは1曲め、「Race the Night」。
のっけから爽快感ほとばしるロック・ナンバーが鳴らされます。これは2023年の「Angel Interceptor」か「Burn Baby Burn」か…。
この曲がASHの数あるロック・アンセムの一つに加えられることは間違いないでしょう。それほどパワフルでダイナミック、何よりもASH(アッシュ)らしい…。
そして、これまたASH(アッシュ)らしいのがミュージックビデオ(MV)。ホラー仕立てですが、後半はもう好き放題…。年をとってもヤンチャぶりは相変わらずです。
続いて2曲め、「Usual Places」。
これまたASH(アッシュ)節がさく裂。ほんと、ティーンエイジャーのASH(アッシュ)かと紛うような、小気味いいパワーポップ・チューンです。
驚くのはティムの声が変わっていないこと。アオハルな歌声は今も健在。ギターリフも心地よい…。
こちらもMVが面白い。お爺ちゃんお婆ちゃんのなかで演奏するのは自虐ネタか…。撮影は由緒あるホテルで行われたみたいですが、さすがにもうホテルの一室を破壊しなかったよね…(苦笑)。
そして4曲め、「Oslo」。
一転して、スローなバラード・ナンバー。こんなしっとりとした曲もやれるんだよね、彼らは。
デュエットで参加しているのは、オランダ出身の女性シンガーソングライターのDémira。とても美しい歌声を披露してくれています。
ティムとDémiraが見事にユニゾンして、ノスタルジックなラブロマンスが歌われます。反則級の美しいバラードです。
いやぁ、最高です。ASH(アッシュ)の新譜「Race the Night」。
「恐るべき子供たち」は年をとってもヤンチャにロックしていました。ティーンエイジャーの頃の瑞々しさを失わないって、ものすごいことですよね…。
あらためて、ASH(アッシュ)にぞっこんです。そして期待するのは、定評のあるライブ公演。
フジロックで魅せた伝説と言われるライブ・パフォーマンスをもう一度…。日本のティーンエイジャーと元ティーンエイジャーにぜひエールを送ってください。
ありがとう、ASH(アッシュ)! ありがとう、「Race the Night」!