怒りと破滅のインダストリアル・ロック!ナイン・インチ・ネイルズ「The Downward Spiral」

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、怒りと破滅のインダストリアル・ロック!ナイン・インチ・ネイルズ「The Downward Spiral」…です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■今日は何の日

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
10月17日の頁には、こんな出来事が記されていました。

【出来事】ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナー、ミュージシャンのマリクイーン・マーンディングと挙式(2009)

こんなニッチな出来事まで記載してるんですね…。ほんと、タワレコ手帳、復刻してくれないかしら。
ナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)、通称「NIN」は、トレント・レズナー(Trent Reznor)によるインダストリアル・ロック・バンドです。

バンドのデビューアルバムは、1989年リリースの「プリティ・ヘイト・マシーン」(Pretty Hate Machine)です。
爆発的なヒットとはならなかったものの、同作の斬新かつヘヴィーなインダストリアル・ロックは音楽シーンに強烈な印象を刻みました。


プリティ・ヘイト・マシーン

それまでアンダーグラウンドだったインダストリアル・ロックは、レズナーによって一気にメジャー・シーンも注目する音楽ジャンルに。
その最大の転機となったのが、1994年リリースの2ndアルバム「ザ・ダウンワード・スパイラル」(The Downward Spiral)です。

前作から4年半もの月日を経てリリースされた同作は、なんと米ビルボードチャートで初登場2位を記録。
NINの名を世界に知らしめるとともに、インダストリアル・ロックに日の目を当て、数多くのフォロワーを生む歴史的なアルバムとなりました。


ザ・ダウンワード・スパイラル

独特な世界観を醸しだすステージ・パフォーマンスも話題を呼び、特に「ウッドストック1994」の泥だらけのステージは伝説となっています。
これら全てが、この時期のNINに追い風となりました。「ザ・ダウンワード・スパイラル」はリミックス・アルバムが出されるほどの熱い支持を受け、レズナーは一躍ロック界のカリスマとなりました。

NINはその後も、活動休止はあるものの、アルバム制作やライブ・ツアーを継続しています。
2020年にはアルバム「Ghosts Ⅴ」「Ghosts Ⅵ」の2枚を同時リリース、衰え知らぬ閃烈インダストリアル・ロックを魅せつけました。同年には「ロックの殿堂」入りも果たしています。

■個人的なおススメ

それでは、そんなナイン・インチ・ネイルズ(NIN)の名を世界に轟かせた2ndアルバム「ザ・ダウンワード・スパイラル」から、個人的なおススメを紹介します。

まずは1曲め、「Mr.Self Destruct」
アルバムのオープニングを飾る、不穏にして攻撃的なナンバー
曲の冒頭には、映画「THX1138」から刑務所内で看守に殴られる男性の声がサンプリングされています。その後すぐにレズナーの攻撃的なボーカルと攻撃的なギターが奏でられ一気にボルテージはMAXに。
中盤、静寂が訪れたかと思うと、それをかき消すように怒りのインダストリアル・サウンドが隙間を埋め尽くします。これはヤバい…。怒りのインダストリアル神、降臨です。

続いて4曲め、「March of the Pigs」
アルバムのリードシングル。3分ほどの曲ですが、これでもかというくらいインダストリアルなサウンドが詰め込まれています。
イントロは淡々とリズムを刻むテクノ・ビート。そこに攻撃的なレズナーの声が吹き荒れます。…と一転、静寂が訪れると、ピアノとともにやさしげなメロディが。
「Now doesn't it make you feel better?」(どうだ?いい気分だろ)。もはや、この音この歌詞までが不穏でおそろしい…。NINの代表的なナンバーです。

続いて5曲め、「Closer」
こちらもNINの代表的なナンバー、アルバムからの2ndシングルです。
相変わらずレズナーのボーカルや歌詞は攻撃的。自己嫌悪や執着をテーマに扱っていますが、性的に過激な表現もあって波紋を呼びました。
一方でサウンドは、攻撃的でありながらもドリーミーな要素もあり。NINサウンドの懐の深さを示しました。聴き込むほどにレズナーの世界に引きずり込まれるヤバい楽曲です。


いやぁ、いま聴いても相当にヤバいサウンドですね、NINの「ザ・ダウンワード・スパイラル」。
「ダウンワード・スパイラル」(下降の連鎖)というタイトルが示す通り、一人の男の下降のはじまりから破滅まで、自己破壊の過程を描いたコンセプトアルバム

これが大ヒットしたというのは、時代の要請なのか、現状への不満なのか…。怒りと破滅のインダストリアル・ロックがこのとき降臨しました。
今日の夢中は、ナイン・インチ・ネイルズのロック史に刻む名盤「ザ・ダウンワード・スパイラル」をとり上げました。

ありがとう、ナイン・インチ・ネイルズ! ありがとう、トレント・レズナー!

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