降り注げ愛のサウンド!クーラ・シェイカー「ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ」

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、降り注げ愛のサウンド!クーラ・シェイカー「ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ」です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■今日は何の日

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
1月18日の頁には、こんな出来事が記されていました。

【誕生日】クリスピアン・ミルズ(クーラ・シェイカー:1973)


Kollected/The Best of Kula Shaker

クリスピアン・ミルズ(Crispian Mills)。
イギリスのロックバンドクーラー・シェイカー(Kula Shaker)のフロントマン、ボーカル&ギタリストです。

クーラー・シェイカーは1990年代後半、ポスト・ブリットポップの時代に独自のサウンドで一世を風靡しました。
バンド名がインドのクラシェハラ王に由来することか分かるように、その特徴は60sロックにインド音楽を融合させたサイケデリック・ロック

メジャー・デビューは1995年。シングル「Tattva」「Hey Dude」のヒットで一躍、音楽シーンの注目を集めます。
同年9月に1stアルバム「K」をリリース。同アルバムは初登場で1位を獲得、一気に人気に火がつきました。


K~15周年記念エディション

バンドは勢いそのままに2ndアルバムの制作に入りますが、この時期クリスピアンの発言がメディアのバッシングを招きます。
さらにクリスピアンの完璧主義もあって何度もレコーディングをやり直し、難産の末にアルバム「ペザンツ、ピッグス&アストロノウツ」 (Peasants, Pigs and Astronauts)(1999年)がリリースされました。

同アルバムは、シングル「サウンド・オブ・ドラムス」のヒットを生みながらも、前作ほどの成功には至らず…。
バンドも機能不全に陥り、1999年9月に解散を発表。デビューからわずか3年という期間をもって音楽シーンから去っていきました…。


ストレンジフォーク

クリスピアンらメンバーはそれぞれ音楽活動を行いますが、チャリティ・アルバムへの楽曲提供を機に2005年に再結成を果たします。
そして2007年、8年ぶりとなる3rdアルバム「ストレンジフォーク」をリリース。さらに2010年には4thアルバム「Pilgrim's Progress」、2016年には5thアルバム「K 2.0」とリリースを続けます。

そして2022年にアルバム「1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs」をリリース。
翌2023年には、イギリス、日本、アメリカ、カナダを巡るワールドツアーを実施。さらに2024年に次作をリリースすることを発表、ここに来て再度アクセルが入ったように精力的な動きを見せています。


1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs

■ペザンツ、ピッグス&アストロノウツ

今日は、そんなクーラー・シェイカーのアルバムの中から、2ndアルバム「ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ」 (Peasants, Pigs and Astronauts)を取り上げます。


ペザンツ、ピッグス&アストロノウツ

前述のとおり、難産の末にようやくリリースに至ったアルバム。何度もレコーディングし直し、プロデューサーも2回変えています。
結果としてこのアルバムをもってバンドは一時解散に至るので、バンドにとっても音楽メディアの評価も今ひとつなアルバム…となるのかもしれません。

ただ、クリスピアンが細部まで仕上がりにこだわったとおり、当時の彼が目指す音楽の方向性が集約された渾身の作品と言えます。
クーラー・シェイカーの魅力は、そのサイケデリック・ロックに表れる、スピリチュアルな世界観とハードなギターロックの共存。それがよく表れたのが1stアルバム「K」でした。

クリスピアンは、その1stの路線をそのまま延長することはしませんでした。2ndでは、よりスピリチュアルな方向に重心を置いたサウンドを手がけます。
サイケデリックなエフェクトを多用、インド語のチャントなども使用し、オリエンタルな雰囲気を醸し出しています。


ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ(レコード盤)

アルバムの一部は、ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアが所有するスタジオで録音されているので、クリスピアンはプログレッシブ・ロックも意識していたのかもしれません。
結果としてはこの路線変更は少し早すぎたのかもしれませんが、いま聴くとそのクオリティの高さに驚かされます。今のクーラー・シェイカーのサウンドと言ってもおかしくない楽曲群。クリスピアンのめざすサイケデリック・ロックの原型がここに鳴らされています。

■個人的なおススメ

それでは、そんなクーラー・シェイカーの名盤「ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ」から、個人的なおススメを紹介しましょう。

まずは8曲め、「Sound of Drums」
アルバムからのリードシングルとしてリリース、全英3位のヒットナンバーとなりました。
ドアーズから音楽的なインスピレーションを得たという作品。プロデュースもアメリカ人のリック・ルービンとジョージ・ドラコウリアスが担当しています。
ハモンドオルガンの音色が印象的。60年代音楽への傾倒がよく表れたポップなロックナンバーです。

続いて2曲め、「Mystical Machine Gun」
なんとも摩訶不思議なインド音楽風のイントロから始まるナンバー。これ、クーラー・シェイカーしか成し得ない世界観でしょう。
そこに絡みつくようなクリスピアンの歌声、オルガンやブラスの音も重なっていきます。サビのコーラスは神々しさすら感じます。
アルバムからの2ndシングル。クーラー・シェイカーのサイケデリック・ロックさく裂のナンバーです。

そして6曲め、「Shower Your Love」
アルバム中盤のハイライトを成すナンバー。ビートルズ風の美しいサイケデリック・ロックです。
クリスピアンが指向するスピリチュアルなサウンドの一つの到達点、メロディも歌詞も音の造りも深遠で美しい…。名曲です。
美しくスピリチュアルなサウンドが降り注がれます。アルバムから3rdシングルとしてリリースされ全英14位を獲得しました。


いやぁ、聴くほどにクーラー・シェイカーのサイケデリック・ロックに引き込まれました。
名盤です。あらためて、クリスピアンの目指すサウンドは決して間違っていなかったと支持します。ありがとう、クリスピアン。

今日(1月18日)は、そんなクーラー・シェイカーのフロントマン、クリスピアン・ミルズの誕生日ということで、2ndアルバム「ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ」を聴きました。
誕生日おめでとう、クリスピアン! ありがとう、「ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ」!

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