こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、孤高のシンガーソングライター、エリオット・スミスのアルバム「XO」をとり上げます。
■今日は何の日
いつも愛用しているタワレコ手帳。
1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されています。
8月6日は、この人の誕生日でした。
【誕生日】エリオット・スミス(1969)
今日が51才の誕生日だったんですね。生きていれば…。
エリオット・スミスは、1990年代後半から2000年初にかけて活動していた米シンガーソングライターです。
1994年、オルタナティブ・ロックバンド「ヒートマイザー」のメンバーとして活動していたときに、アルバム「Roman Candle」でソロデビュー。
その後1996年、バンドが解散すると、ソロ活動に専念します。
彼が注目されるようになったのは1997年のこと。映画「グッド・ウィル・ハンティング」に提供した「Miss Misery」がアカデミー歌曲賞にノミネートされました。
残念ながら受賞を逃しますが、そのとき受賞したのは「My Heart Will Go On」。セリーヌ・ディオンの歌うタイタニックの主題歌でした。
アカデミー賞ノミネートを追い風に、1998年にスミスはメジャーレーベルDreamWorks Recordsに移籍。
そして、アルバム「XO」(1998年)、「Figure 8」(2000年)を相次いでリリースします。
しかし、順調に見える活動の影で、スミスは深刻なうつ病を患っていました。彼はドラッグとアルコールに溺れます。
そして2003年10月21日、自宅アパートで胸を刺されて死亡…。死因については解明されていません。
■XO
今日はそんな孤高のシンガーソングライター、エリオット・スミスをとり上げます。
その音楽は、当時のアメリカを席巻してたニルヴァーナなどのグランジ・ロックとは対極をなす、やわらかなアコースティック・サウンドでした。
その儚くもやさしいサウンドは、スミスの繊細な性格をそのまま音符に綴ったかのよう…。
「Roman Candle」から「Figure 8」まで、彼が存命中に残したアルバムは5枚。その全てが、時代に抗うようなシンプルなアコースティック・アルバムです。
館長ふゆきも、ノイジーなニルヴァーナが大好きでしたが、同時期に現れたエリオット・スミスも同じくらい大好きで、アルバムを聴いては何度も癒されました。
今日は、スミスの5枚のアルバムの中から、1998年リリースの「XO」をとり上げます。
個人的に大好きな作品。従来のアコースティックな楽曲に加えて、ホーンセクションを加えた多様なアレンジにも挑戦。スミスの音楽の才能が開花した作品です。
■個人的なおススメ
それでは、そんなエリオット・スミスのアルバム「XO」の中から、個人的なおススメを紹介します。
まずは2曲め「Tomorrow Tomorrow」。
「これぞエリオット・スミス」というアコースティック・サウンドです。特にギターの音色が美しい…。
アレンジで重ねられたコーラスも心地いい。彼が大ファンだったビートルズの影響も見受けられる名曲です。
そして3曲め「Waltz, No.2(XO)」。
複雑な母親への愛情をうたった曲。登場するのは、主人公(スミス)と母親、そして母の再婚相手…。
実際にスミスは、1歳のときに両親が離婚して、移り住んだ先で母親が再婚した継父との関係に苦しみました。
I'm never gonna know you now
But I'm gonna love you anyhow
あなたのことはもうわからない…
だけどまだ、何とか愛そうと思うんだ(ふゆき訳)
スミスの楽曲のなかでも1.2を争う名曲。これほど儚くもやさしいサウンドを、彼のほかに誰がつくれるでしょうか…。
さらに11曲め「Bottle Up and Explode!」。
こんな曲もできるんだなぁ、スミス。パワーポップ×ストリングス。
中盤の泣きのギターも聴きどころ。スミスのソングライティングのセンスが光ります。
なんて、やさしい歌声なんだろう…。
そして、なんて危うい歌声なんだろう…。ちょっとでもバランスを失ったら消えてしまうような、もろく儚い美しさが、そこにあります。
ライブでは、バックバンドの音量にかき消されてしまう自身の声量に悩んでいたというスミス。
やがてドラッグを常用するようになり、2003年、34歳で永眠しました。
ありがとう、エリオット・スミス! ありがとう、「XO」!