ビッグ・スター「Third」!お蔵入り寸前だった幻の3rdアルバム、美しき混沌の響き

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、ビッグ・スター「Third」!お蔵入り寸前だった幻の3rdアルバム、美しき混沌の響きです。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■Third

伝説のパワーポップ・バンド、ビッグ・スター(Big Star)
今日は、彼らの幻の3rdアルバムをとり上げましょう。アルバムタイトルはその名も「Third」です。

アレックス・チルトンを中心に結成されたバンドは、1972年に「#1 Record」、1974年に「Radio City」と、相次いで傑作アルバムをリリースします。
これら作品は批評家に絶賛されながらも、レーベル側のプロモーション不足などにより、当時は全く売れませんでした


#1 Record

メンバーの脱退、精神的な疲弊…。そんなボロボロの状態の中で、アレックス・チルトンを中心につくり上げたのが、「Third」というアルバムでした。
1974年9月、チルトンがドラマーのジョディ・スティーブンスと共にアルバム制作を開始。1975年初にはセッションとミキシングが完了し、プロモーション用の初期プレスが行われました。

しかし、このアルバムのプロモーションも失敗…。商業的な関心を得られずに、アルバムは発売されることなくお蔵入りとなりました。
1974年後半、アルバムにまだ正式な名前が付けられる前にバンドは解散。ビッグ・スターの最初の時代は幕を閉じました。

それでも1978年に、ビッグ・スターの初期2作品がダブルアルバムとしてイギリスでリリースされると、これが熱烈な支持を集めます。
この動きを受けて、お蔵入りしていたテープが復活。完成から4年後に3枚目のアルバム「Third」としてリリースされることになったのです。


Third

後にR.E.M.やエリオット・スミス、さらにはレディオヘッドといった名だたるアーティストたちに影響を与えたビッグ・スター。
その幻の3rdアルバムは、こうして紆余曲折のうえにリリースされました。チルトンの当時の精神状態もうかがい知れる「カオス」な作品。それが「Third」です。

■個人的なおススメ

それでは、そんなビッグ・スターの幻の3rdアルバム「Third」から、個人的なおススメです。

まずは1曲目、「Thank You Friends」
アルバムの中でもひときわキャッチーで、初期のビッグ・スターを彷彿とさせるパワーポップ・ナンバーです。
チルトン得意のポップなメロディと華やかなコーラスが聴きどころ。「友達みんな、ありがとう」という歌詞も、明るくポジティブに響きます。
しかし、アルバム全体の文脈のなかで聴くと、その明るさがかえって切なく空虚に感じます。明るいのに泣ける…そんな不思議なポップソングです。

続いて4曲目、「Jesus Christ」
これほど美しく儚いクリスマス・ソングがあったでしょうか…。アレックス・チルトン珠玉のウィンター・ソングです。
チルトンの澄んだ歌声と、甘いメロディ、儚げにかき鳴らされるエレキ・ギターの音…。どれもが無垢で純粋に輝きを放っています。
当時のバンドが置かれた環境を思うと、まるで暗闇の中で一筋の光を見つけたような感動を感じます。ポップ・ミュージックとして完成度が高く、一度聴いたら耳から離れません。

そして8曲目、「Kanga Roo」
本作の「カオス」を象徴するような、約7分間に及ぶサイケデリックなナンバーです。
輪郭のぼやけたギターのフィードバック、不安定に揺れるリズム、そして呟くようなボーカル……。意識が遠のいていくような不思議な感覚に陥ります。
既存のポップスの枠組みを完全に破壊したサウンドは、後のオルタナティブ・ロックに計り知れない影響を与えました。


「Thank You Friends」のポップさ、「Jesus Christ」の奇跡的な純粋さ、そして「Kanga Roo」の混沌とした芸術性。
この3曲を聞いただけでも、ビッグ・スターの魅力と、この作品の混沌さが計り知れると思います。ロックは一筋縄ではいきませんね。

今日の夢中は、ビッグ・スター「Third」!お蔵入り寸前だった幻の3rdアルバム、美しき混沌の響きでした。
ありがとう、ビッグ・スター! ありがとう、「Third」!

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