こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日は、英ロックバンド、コーナーショップの新譜「England is a Garden」をとり上げます。
■コーナーショップ
懐かしいなぁ、コーナーショップ。
90年代のブリットポップブームで注目を集めた英ロックバンドです。
結成は1991年。イングランド中部のウルヴァ―ハンプトン出身のロックバンド。
中心人物は、インド系英国人のティジンダー・シンとベン・エアーズの2人です。
バンド名は、イングランドのアジアン・コミュニティーに数多くある日用雑貨店の通称から付けられました。
そんな出自もあって、音楽の特徴は、ギターロックとインド音楽のミクスチャー。
エスニック感ただようサイケデリックロックは、ブリットポップブームの中でも異彩を放ちました。
当時は過激な言動なんかもあって、「カレーパンク」なんて評されていました。
1993年、EP「Elvis Sex Change」EPでデビュー。
翌年にデビューアルバム「Hold On It Hurts」をリリースすると、デヴィッド・バーンやベックらに引き立てられます。
バンドが飛躍したのは、3rdアルバム「When I Was Born for the 7th Time」(1997年)から。
シングルカットされた「ブリムフル・オブ・アーシャ」が大ヒット。全英1位を獲得しました。
When I Was Born for the 7th Time
■England is a Garden
ただ、その後はバンドの名前が大きくシーンに登場することはありませんでした。
彼らがサイドプロジェクト「クリントン」などを始めたのも要因でしょう。
オリジナルアルバムとしては、2012年の「Urban Turban」からリリースは途絶えていました。
正直、忘れかけていたこの時期に、彼らの8年ぶりとなるアルバムが届きました。
それが、今日紹介する「England is a Garden」(2020年)です。
これがもう、聴くほどにハマる、極上のポップ・ロックなのです。
彼らの特徴であるインド音楽の要素も其処彼処に仕込まれています。
しかも、ポップなメロディの裏に、差別や社会問題などへの力強いメッセージを秘めています。
まさにスパイスの効いたオリエンタル・ロック。21世紀のインディアン・ロックです。
忘れていてごめんなさい、コーナーショップ…。
2020年に届けられた新譜「England is a Garden」、ヘビロテしてます。
■個人的なおススメ
それでは、そんなコーナーショップの新譜「England is a Garden」から個人的なおススメです。
まずは1曲め、「St Marie Under Canon」。
軽快なドラムとハモンドオルガン。ノリのいいポップなメロディ。
ただ、歌われているのは、植民地主義への批判だったりします。このギャップも彼らの魅力ですね。
続いて3曲め「No Rock Save in Roll」。
まるでローリングストーンズのようはギターリフ。モータウンのような女性コーラス。
おそらくロック・ミュージックを風刺してるんだろうな。もはやカレーパンクとは呼んではいけない…。音楽IQの高さをうかがい知れる1曲です。
11曲め「One Uncareful Lady Owner」。
インディアン・ロック全開。シタールと思しき弦楽器の音が鳴り渡ります。
なんとも意味深な曲タイトルを含めて、もはやコーナーショップを誰も止められない。唯一無二のサウンドメイカーになりました。
いやぁ、コーナーショップのアルバム、楽しいなぁ…。
ロックミュージックって、やっぱりボーダレス。いろんなミクスチャーでもっと多種多様な音楽が生まれていく。そんな可能性を感じるアルバムでした。
ありがとう、コーナーショップ! ありがとう、「England is a Garden」!