こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、パワーポップの雄、マシュー・スウィートの新譜「Catspaw」です。
■マシュー・スウィート
マシュー・スウィート。個人的に大好きなミュージシャンの一人。
パワーポップという言葉は彼のために作られたのではないかというくらい、ポップでメロウな音を奏でるシンガーソングライターです。
1986年にアルバム「Inside」でデビューすると、3rdアルバム「ガールフレンド」(1991年)で一躍注目を集めます。
このアルバムは、パワーポップ史に残る名盤で、甘いメロディとほとばしるギター、さらにはマシューのやさしいボーカルでファンの熱い支持を集めました。
その後も持ち前のポップセンスで作品をリリースする一方で、元バングルズのスザンナ・ホフスとカバー・アルバムを出すなど、他アーティストとのコラボにも精力的に勤しみます。
そのせいかは分かりませんが、自身のソロ活動は少しペースダウン。前作「Tomorrow Forever」(2017年)は、その前作から6年のスパンを空けてのリリースでした。
■Catspaw
今回届けられた新譜「Catspaw」は、それから比べると早めのインターバルで登場。
それでも3年ぶりということですから、ファンにとっては待望の最新アルバムということになります。
今回のアルバムは、ネブラスカの自宅で制作されました。
もともと多才なマシュー。ソングライティング、プロデュース、レコーディング、ミックスをすべてマシューが手掛けています。
さらに演奏のほうも、ドラムを盟友のリック・メンク(ヴェルヴェット・クラッシュ)に任せた以外は、ギターからベース、キーボードまで、ほとんどの楽器を自身でプレイしています。
パンデミックによる自粛も、彼にはまったく関係ないですね…。むしろポップ・オタクぶりが強化された感じです。
そんなアルバム「Catspaw」。
マシューは、相変わらずのパワーポップ魔人ぶりを発揮しているんですが、本作ではさらに新たな魅力を装着しています。
それが、「泣き」のギター…。もともとメロディアスなギターを響かせていたんですが、今回はもっとエモーショナルな音になっています。
さらに切なく、そしてエモく…。ギターがまるで意思を持った生き物のように、楽曲のなかを自由に駆け回ります。
ものすごいギターの存在感。決して上手いわけじゃないんだけど、エモい。
これまでは、リードギターは他ミュージシャンに任せることが多かったマシュー。本作ではマシュー自身が全曲のリードギターを弾いているとのこと。
久しぶりのリードギターに自身も戸惑ったようですが、逆にそれが良かったのかもしれません。
こなれていない分、精一杯に弦を弾いた音が、生々しく楽曲に刻まれています。
甘いメロディに唸り泣くギター…。こりゃ、まだまだマシューのパワーポップは止まらないな…。
■個人的なおススメ
それでは、そんなマシュー・スウィートの新譜「Catspaw」から個人的なおススメです。
まずは2曲め、「Give A Little」。
イントロから泣きのギターが唸ります。決して上手ではないんですよね…。
むしろ素人っぽい、たどたどしさがあったりします。でも、それがまた、一生懸命さが伝わってきてイイんですよね。
さらに、マシューの持ち味の甘メロと青春ボイスは健在。瑞々しいパワーポップです。
さらに3曲め、「Challenge The Gods」。
こちらもイントロからリードギターがさく裂、高音のギターが空を舞います。
高音のギターに負けじと、サビのメロディもハイトーン。後半、その両者が絡み合います。
コーラスも美しい…。ソングライティングもピカイチです。
そして7曲め、「Stars Explode」。
2種類のリードギターが唸り泣きます。一つはヘヴィーに力強く、一つは美しく浮遊するように。
それでいて、ベースに鳴るのはアコースティック・ギターだったりするんですよね。
最後は2つのリードギターがエモく収斂していきます。ギターロック好きにはたまらないナンバーです。
エモ泣きギターが駆け回る、マシュー・スウィート「Catspaw」。
再び集え、往年のパワーポップファンたちよ。パワーポップは死んじゃいない。青春を取り戻そう!
ありがとう、マシュー・スウィート! ありがとう、「Catspaw」!