こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、米シンガーソングライター・ケイシー・マスグレイヴズの新譜「スター・クロスト」を取り上げます。
■ケイシー・マスグレイヴズ
注目の女性シンガー、ケイシー・マスグレイヴズ(Kacey Musgraves)。
前作「Golden Hour」(2018年)で、グラミー賞最多4部門を受賞。人気・実力ともにアメリカを代表するシンガーソングライターです。
館長ふゆきは、前作で彼女を初めて知ってトリコになりましたが、その実力は折り紙付きでした。
8歳から曲を書き始め、18歳のときにカントリーミュージックを始めると、カントリーの人気バンド「レディ・アンテベラム」の前座に抜擢されます。
満を持してリリースした1stアルバム「Same Trailer Different Park」(2013年)は、全米で100万枚のセールスを記録。
デビュー作にし、米グラミー賞で「Best Country Album」を獲得しています。
その後もカントリーの新歌姫として快進撃を続けます。
2015年に2ndアルバム「Pageant Material」、2018年に先述の3rdアルバム「Golden Hour」とヒット作を重ねます。
プライベートでも、米シンガーソングライターのラストン・ケリーと結婚。
公私ともに充実した生活を送り、そのラブラブぶりを歌にしたりしていました。
■スター・クロスト
しかし、甘い春は長く続きませんでした。
ケイシーとラストンの結婚生活は2年半で破局。ケイシーは失意のどん底に落ちました…。
そんなケイシーを救ったのは「歌」でした。
彼女は、自らが経験した恋の痛みを、あえて歌の物語にしたためました。
それが、今日紹介するアルバム、「スター・クロスト」(原題:star-crossed,2021年)です。
彼女の結婚から離婚に至る経験を3部構成15曲の歌にした、まるで映画のようなアルバム。
実際に「star-crossed: the film」と題されたショート・フィルムも制作されています。
ケイシーが主人公を演じています。いろんな形で、過去を吹っ切ろうとしているんでしょうね…。
そうした試練ともいえる経験は、彼女の歌声をやさしく、その旋律を美しく、深化させました。
そんなケイシー・マスグレイヴスの私小説のような楽曲集が「スター・クロスト」です。
あなたも、悲しくも美しい歌の物語を聴いてみませんか?
■個人的なおススメ
それでは、ケイシー・マスグレイヴスのアルバム「スター・クロスト」から、個人的なおススメです。
まずは、6曲め「justified」。
このアルバムを象徴するようなナンバー。ラストンとの離婚後の感情をそのまま歌詞にした感じ。
「お互いすれ違い、もう耐えられなくなった…」「私をもっと大切にしてくれてたら…」。
この歌詞の世界観を投影したMVも秀逸。アルバムからのファーストシングルです。
続いて、3曲め「cherry blossom」。
日本大好きケイシーが、自らを「桜の花」(cherry blossom)にたとえ「散らさないで」と歌います。
曲調も、日本の琴とおぼしき楽器を取り入れた幻想的なサウンド。ちなみに、ケイシーはジブリ作品の大ファンで、「アーヤと魔女」の英語版主題歌を担当、声優もこなしています。
そして、10曲め「easier said」。
美しいメロディ、やさしい歌声。「I’m not in love」を彷彿させるシンセ音やアコースティック・ギターが曲を彩ります。
恋の痛みを癒すようなサウンド。本作品でケイシーがつくり出す音の世界観を存分に堪能できる名曲です。
ケイシー・マスグレイヴス、いいですねぇ…。
恋の痛みを乗り越えて、さらに歌に深みが増した感じ。悲しくも美しい歌の物語「スター・クロスト」でした。
ありがとう、ケイシー・マスグレイヴス! ありがとう、「スター・クロスト」!