ポール・ウェラーが切り開いた新たなサウンド…スタイル・カウンシル「カフェ・ブリュ」

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、ポール・ウェラーが切り開いた新たなサウンド…スタイル・カウンシル「カフェ・ブリュ」…です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■今日は何の日

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
5月25日の頁には、こんな出来事が記されていました。

【誕生日】ポール・ウェラー(1958)

なんと、5月25日はポール・ウェラーの誕生日でしたか。
今日(2023年5月25日)で御年65歳、なお現役で音楽活動を続けている大御所ミュージシャンです。

ポール・ウェラーと言えば、まだ10代のときに「ザ・ジャム」のフロントマンとして鮮烈にデビュー(1977年)。
クールな外見とパンクを基調にした激しい音楽で、当時イギリスの音楽シーンで絶大な人気を誇りました。


イン・ザ・シティ

ジャムは約6年の活動期間を経て、6thアルバム「ギフト」(1982年)を最後に、人気絶頂のうちに幕を閉じました。
その後、ポールは1980年代にバンド「スタイル・カウンシル」(The Style Council)を結成。バンド解散後はソロとして活動。いまもアルバム制作を続けライブ活動も行っています。

■スタイル・カウンシル

そんなポール・ウェラーの長い音楽キャリアの中で、今日はその1980年代にスポットライトを当てましょう。
ジャムのリードシンガーとして国民的な人気を誇っていた彼が、その解散後に結成したのが「スタイル・カウンシル」でした。

キーボード奏者のミック・タルボットとともに、1982年暮れにスタイル・カウンシルを結成。
バンドは、ジャム時代とは異なる、ジャズやソウル、ボサノヴァなどアヴァンギャルドなサウンドを切り開きます。


Introducing the Style Council

1983年3月にデビュー・シングル「スピーク・ライク・ア・チャイルド」をリリースすると、全英4位を記録するヒットに。
翌1984年リリースした1stアルバム「カフェ・ブリュ」(Café Bleu)は、全英2位を獲得するゴールド・ディスクとなりました。

その後もバンドは、2ndアルバム「アワ・フェイバリット・ショップ」(全英1位)、3rdアルバム「コスト・オブ・ラヴィング」(全英2位)とヒット作を相次ぎ生み出します。
シングル曲もチャートを賑わす人気の影で、ポール・ウェラーに対する批判の声が積み重なっていきました。


アワ・フェイバリット・ショップ

その多くは、怒れるパンク・ロッカー時代のポールを崇拝するファンでした。
彼らにしてみると、洗練されたお洒落なサウンドを奏でる姿は受け入れがたかったのかもしれません。愛するがゆえに憎い…。これは結構厄介ですよね。

1980年代後半から人気に翳りが見られるようになると、5thアルバム「コンフェッション・オブ・ア・ポップ・グループ」が商業的にふるわず…。
音楽メディアの評価も否定的なものとなり、メンバー間の不和が表面化。1990年に解散となりました。


コンフェッション・オブ・ア・ポップ・グループ

■個人的なおススメ

ジャム時代の印象があまりに鮮烈だったので、その時に刻まれたポール・ウェラー像が重くのしかかったのかもしれません…。
ただ、スタイル・カウンシルが切り開いたサウンドが、新たなファンを獲得したのも事実。スタイル・カウンシルの音楽とファッションは、当時の日本のサブカルチャーにも大きな影響を与えました。

それでは、そんなスタイル・カウンシルの1stアルバム「カフェ・ブリュ」(Café Bleu)から、個人的なおススメを紹介しましょう。


カフェ・ブリュ

まずは6曲め、「My Ever Changing Moods」
これがスタイル・カウンシルが目指す新たなサウンド。ブラック・ミュージックを基調に、ジャズやソウルなどさまざまな音楽要素が入ったナンバーです。
確かにパンクとは別物だけど、だからと言ってポールの音楽を否定するのは角違いなのでは?今の時代にも通じるソウルフルなナンバーです。
アルバムの先行シングルとしてリリースされ、全英5位、全米でも初の30位以内を獲得しました。なお、アルバムにはミックのピアノとポールの歌だけのバージョンが収録されています。

続いて10曲め、「You’re the Best Thing」
これまた、ポールが新たにつくり出そうとするサウンドがよく分かるナンバー。
ボサノヴァ調のサウンドを大胆に取り入れています。そして驚くのはポールのファルセット・ボイス。
ジャム時代の終盤もブラック・ミュージックへの傾倒を見せていたポール。こういう音楽がやりたかったんだろうな。名曲です。

そして5曲め、「The Paris Match」
これが、パンクバンド「ジャム」の元フロントマンが奏でる音楽か…。そんな驚きの声が出るのも分かるスローなナンバー。
ボーカルは、「エヴリシング・バット・ザ・ガール」のトレイシー・ソーン。スタイル・カウンシルのサウンドと見事に合致した世界観を醸し出しています。


いやぁ…、久しぶりに聴きましたが、すばらしいアルバムですね。
いま聴いてもサウンドがまったく色褪せていません。聴くほどに心が安らかになるヒーリング・ミュージック。むしろ、今の時代に求められる音楽なんじゃないかと思いました。

どうなんでしょう?ポールにとって、スタイル・カウンシルはほろ苦い軌跡になったのでしょうか。
でもこの時代のポールは、その歌声もスタイルもめちゃカッコいい…。今さらながらに聴き惚れました

今日の夢中は、ポール・ウェラーが切り開いた新たなサウンド、スタイル・カウンシルの1stアルバム「カフェ・ブリュ」でした。
ありがとう、スタイル・カウンシル! 誕生日おめでとう、ポール・ウェラー!

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