こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、超クールな破壊の女神降臨!キム・ゴードン2ndソロアルバム「The Collective」です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。
■キム・ゴードン
元ソニック・ユースのメンバー、"キム姐"こと、キム・ゴードン(Kim Gordon)。
待望のソロ2作目がリリースされました。タイトルは「The Collective」。
今日は、2024年3月にリリースされた、キム・ゴードンのアルバム「The Collective」を取り上げましょう。
まずは、キム・ゴードンの経歴をざっと紹介すると…。
米ニューヨーク州ロチェスター生まれ、カリフォルニア州ロサンゼルス育ち。
そのキャリアとして知られているのは、米オルタナティブ・ロックバンド「ソニック・ユース」(Sonic Youth)のメンバーとしてでしょう。
1981年、キムはサーストン・ムーアと出会って、ソニック・ユースを結成。
バンドは1980年代におけるインディー・シーンにおいて、ノイズ・パンクの雄として君臨。
その轟音ギターやノイジーなサウンドは、後のグランジ・ムーブメントに大きな影響を与えました。
キムはバンドでベース&ボーカルを担当。紅一点、ステージに立ち演奏する姿は、クールで聴衆を魅了しました。
しかし2011年、キムと夫でもあったムーアとの結婚生活の破綻をきっかけに、バンドは活動休止…。
キムはその後、ソロとしての音楽活動やビジュアル・アーティストとしてアート制作など、多岐に活躍の場を拡げています。
音楽活動としては、2019年に初となるソロ・アルバム「No Home Record」をリリース。
ノイジーでポップなサウンドで変わらぬ"キム姐"節を披露すると、2024年3月、2作目となる「The Collective」がリリースされたのです。
キムの故郷ロサンゼルスでレコーディングされたという本作は、前作と同じくプロデューサーにジャスティン・ライゼンを起用。
そのサウンドは、これまでにも増して不穏でノイジー…。インダストリアルなビートに歪んだギター、唸り声のようなスポークン・ワード…。
これはロックなのかラップなのか…。どの音楽ジャンルにも属さないような先鋭的で実験的なサウンドになっています。
ソニック・ユースでもビジュアル・アーティストとしても、新たな地平を切り開いてきたキム姐の面目躍如というべき作品。それが「The Collective」です。
■個人的なおススメ
それでは、そんなキム・ゴードンの2ndアルバム「The Collective」から、個人的なおススメです。
まずは1曲め、「BYE BYE」。
冒頭からそのサウンドは不穏にしてノイジー。踏切の警報のような音、ひしゃげたエレクトリカルなビート音…。
そこにクールなキム姐のスポークン・ワードが重なります。なにが呟かれているかと聞けば、ジーンズ、パスポート、歯磨き粉、マスカラ、シャンプー…。
旅行前の荷造りリスト、ごくありふれたアイテムが淡々と読み上げられているのです。それがこんなヤバいサウンドになるとは、おそるべしキム姐…。
続いて4曲め、「I'm A Man」。
もう、この曲タイトルからしてヤバい…。インダストリアルで歪んだシンセ音、そこにキム姐のスポークン・ワードが重なるのは「BYE BYE」同様。
ただ、「BYE BYE」よりも内なる怒りが一つ一つのワードに込められているのが伝わります。これはロックの呪文か…。
ミュージック・ビデオに登場する女性は、キム・ゴードンとサーストン・ムーアの娘であるココ・ゴードン・ムーア。「BYE BYE」にも出演しています。
そして7曲め、「Psychedelic Orgasm」。
これまた、呪文のようなキム姐のスポークン・ワードが繰り出されます。女神が降臨したかのような不思議な世界観…。
それは、救いの神というより、破壊の女神です。曲のなかで、キムのワードがデジタル処理されて、さらに神々しく聞こえるのも戦慄します。
キム姐、2024年4月で御年71歳…。とてもそうは思えない、実験的で先鋭的なサウンド。この音で、さらにキム信者が増えていくことでしょう…。
圧巻…度肝を抜かれました。そのヤバさは、往時のソニック・ユースに負けず劣らずです。
このキム姐、なんと2024年フジロック・フェスティバルに降臨します。これは、苗場が破壊の女神に蹂躙されるのではないでしょうか。
今日の夢中は、超クールな破壊の女神降臨!キム・ゴードンのソロ2ndアルバム「The Collective」でした。
ありがとう、キム・ゴードン! ありがとう、「The Collective」!