あなたは誰かを愛せますか?スザンヌ・ヴェガ「街角の詩」…あなたは私を愛せますか?

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、あなたは誰かを愛せますか?スザンヌ・ヴェガ「街角の詩」…あなたは私を愛せますか?です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■今日は何の日

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
7月11日の頁には、こんな出来事が記されていました。

【誕生日】スザンヌ・ヴェガ(1959)

スザンヌ・ヴェガ(Suzanne Vega)。アメリカ出身のシンガーソングライター。
「ルカ」や「トムズ・ダイナー」などのヒット曲で知られるポップシンガーです。


トムズ・ダイナー

スザンヌ・ヴェガは1959年7月11日、米カリフォルニア州サンタモニカ生まれました。
両親は彼女が生まれてすぐに離婚。2歳半のときに母に連れられニューヨークに移りました。

9歳のときに詩を書き始めたという彼女は、若い頃から音楽の道を志します。
コロンビア大学に入学すると英文学を学ぶ傍ら、グリニッジ・ヴィレッジの小さな劇場で演奏するようになりました。

その活動は少しずつ注目を集めるようになり、1984年にメジャーレーベルと契約。
1985年にデビューアルバム「街角の詩」(原題:Suzanne Vega)を発表、内省的で社会批判を含んだ楽曲で大いに注目を集めます。

「街角の詩」(原題:Suzanne Vega)

このアルバムのフォークスタイルと無駄を省いたアレンジは、当時の音楽シーンのなかでは異色…。
彼女の登場は、かつて60年代にブームとなったシンガーソングライターの新たな時代の到来を予感させるものとなりました。

そして1987年、彼女の名を一気に知らしめた2ndアルバム「孤独(ひとり)」(原題:Solitude Standing)をリリース。
児童虐待の問題を取り上げた「ルカ」(Luka)の大ヒットにより、スザンヌ・ヴェガは時の人となりました。

「孤独(ひとり)」(原題:Solitude Standing)

その後も彼女は、「夢紡ぎ」(原題:Days of Open Hand)(1990年)、「微熱」(原題:99.9F°)(1992年)など多彩な作品をリリース。
2024年7月時点で、9枚のスタジオアルバムと4枚のアコースティック・アルバムを制作。2018年には来日公演を行うなどライブ活動も継続し、いまもシンガーソングライターとして活躍しています。

■街角の詩

今日(7月11日)は、そんなスザンヌ・ヴェガの誕生日ということで、彼女のデビューアルバムを取り上げましょう。
ミュージシャンとして第一歩を刻んだ記念碑的な作品。シンガーソングライター新時代を切り拓いた作品です。

アルバムは、レーベルとスザンヌ自身の想定を上回るヒットとなり、米ビルボード91位、英チャートでは11位にランクイン。
「マレーネの肖像」(原題:Marlene on the Wall)のシングルヒットも生んで、スザンヌ・ヴェガという吟遊詩人に大いに注目が集まることとなりました。
今日は、そんなアルバム「街角の詩」(原題:Suzanne Vega)から、個人的なおススメを紹介します。

まずは3曲め、「マレーネの肖像」(Marlene on the Wall)
スザンヌの記念すべきデビューシングル。最初リリースしたときは鳴かず飛ばずでしたが、1986年に再リリースされると全英チャート21位のヒットとなりました。
曲のタイトルは女優のマレーネ・ディートリッヒを指します。スザンヌは物言わぬマレーネのポスターにインスピレーションを得て曲を書きました。
そうした歌詞もアコースティックな曲調も、後の彼女のスタイルを象徴するもの。これがヒットしたのはうれしい驚き…名曲です。

続いて4曲め、「スモール・ブルー・シング」(Small Blue Thing)
「マレーネの肖像」同様に、アコースティック・ギターをベースにした美しいナンバー。「マレーネ~」にも増して静かでメロウなサウンドです。
囁くような歌声が、やさしくも重く心に響きます。この歌声で「ルカ」(Luka)では児童虐待問題に一石を投じました。
まさに邦題のとおり「街角の詩」。気取らず飾らない彼女の魅力が存分に発揮されたナンバーです。

そして9曲め、「ナイト・ムーヴス」(Knight Moves)
これまたスザンヌの「街角の詩」を象徴するようなナンバー。その歌詞がまた、シンプルでいて深遠です。

Do you love any, do you love none?
Do you love many, can you love one?
Do you love me?
あなたは誰かを愛しますか?誰も愛しませんか?
たくさんの人を愛せますか?ただ1人を愛せますか?
あなたは私を愛していますか?

これぞ街角の吟遊詩人。聴くほどに心に歌詞が響き入る、隠れた名曲です。


すばらしいアルバムです、スザンヌ・ヴェガ「街角の詩」(原題:Suzanne Vega)
MTV全盛の時代には明らかに異色なこのアルバムが、同時代に受け入れられたことに、このアルバムと彼女の価値があるように思います。

あなたがいる街角でも、飾らず驕らず正直な思いを歌にのせる吟遊詩人がいるかもしれません
心を癒す街角の歌声…。今日の夢中は、スザンヌ・ヴェガのデビュー・アルバム「街角の詩」(原題:Suzanne Vega)でした。

誕生日おめでとう、スザンヌ・ヴェガ! ありがとう、「街角の詩」!

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