"グッド・ミュージックの伝道師"ティーンエイジ・ファンクラブ「Nothing Lasts Forever」

2023年9月28日

ふゆき

こんにちは。夢中図書館へようこそ！
館長のふゆきです。

今日の夢中は、"グッド・ミュージックの伝道師"ティーンエイジ・ファンクラブ「Nothing Lasts Forever」です。
「夢中図書館音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■ティーンエイジ・ファンクラブ「Nothing Lasts Forever」

ティーンエイジ・ファンクラブ（Teenage Fanclub）の新譜がついにリリースされました（2023年9月22日）。
アルバム名は「ナッシング・ラスツ・フォーエヴァー」（Nothing Lasts Forever）。前作「エンドレス・アーケイド」（2021年）以来となる通算12作目のスタジオアルバムです。

ナッシング・ラスツ・フォーエバー

ティーンエイジ・ファンクラブ（Teenage fanclub）はスコットランドのグラスゴー出身のロックバンド。
結成は1989年なので、もうキャリア30年を超えてます。これまで数多く珠玉のギターポップサウンドを送り出し、「グラスゴーの至宝」なんて呼ばれています。略称は「TFC」。

バンドの中心人物は、ソングライティングとボーカルを手がける、ノーマン・ブレイクとレイモンド・マッギンリー（ボーカル＆ギター）。
この2人に、盟友フランシス・マクドナルド（ドラム）、ベル＆セバスチャンのデイヴ・マッゴーワン（ベース）、元ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキのエイロス・チャイルズ（キーボード）を加えた5人が、いまのTFCのメンバーとなっています。

もう一人、ジェラルド・ラブというソングライター＆ボーカリストもいたのですが、2016年のアルバム「ヒア」リリース後に脱退。
その影響が大きく心配されたのですが、前作「エンドレス・アーケイド」で変わらぬメロディアスな楽曲を披露。同アルバムは全英11位を獲得し、バンドへの根強い支持が確かめられました。

エンドレス・アーケイド

本作「ナッシング・ラスツ・フォーエバー」でも、変わらぬグッド・ミュージックが奏でられています。
いま、ここまでみずみずしいメロディ＆ハーモニーを紡ぎ出せるバンドがいるでしょうか…。

そのサウンドは、ビートルズやビーチボーイズなど60年代を彷彿させます。あくまでメランコリーに、あくまでも美しく…。
こんなサウンドが今の時代に降り注ぐのは最高の贈り物です。TFCはグッド・ミュージックの伝道師なんじゃないかしら。

ナッシング・ラスツ・フォーエバー（レコード盤）

■個人的なおススメ

それでは、そんなティーンエイジ・ファンクラブの新譜「ナッシング・ラスツ・フォーエバー」から、個人的なおススメです。

まずは1曲め、「Foreign Land」。
オープニングから気持ちがピースフルになるリズム＆メロディが響き渡ります。
決して今風の音でもないし、特段盛り上がるシャウトがあるわけじゃない…。でも聴くほどに彩り豊かに音が広がっていく…これがTFCサウンドの魅力じゃないのかな。
MVも美しい…。スコットランドの歴史あるハミルトン霊廟で撮影されたもの。TFCサウンドとベストマッチですね。

続いて2曲め、「Tired Of Being Alone」。
1曲めはノーマンの楽曲＆ボーカルでしたが、2曲めはレイモンドの楽曲＆ボーカルです。アルバム全体でも、2人の楽曲が半々になっています。
前作から続く2人の楽曲を紡ぎ合わせるスタイルは、本作でさらに洗練度を増しているよう…。それぞれの特徴がよく出されているんですよね。
この曲は、レイモンドらしいフォーク調あるいはカントリー調のスタイルを楽しめます。こちらもMVの風景がすばらしい…（撮影場所はノルウェイ）。

さらに3曲め、「I Left A Light On」。
ノーマン作のバラード・ナンバー。なんて美しいメロディ、そしてハーモニーなんでしょうか…。
歌詞もすばらしい。歌われるのは孤独を抱える男性（I was a lonely soul）。彼は人生の意味を失い（My life had lost its meaning）、暗闇のなかを独り歩いています（I walked alone in darkness）。
それでも想いは変わらない。彼はすべてのドアを開け（I opened every door）、ライトをつけっ放しにします（I left a light on）。あなたのために（For you）。
名曲です。この次の曲が、レイモンド作の「See the Light」というタイトルで、まるで歌のかけ合いのよう…。この2人はずっとTFCでいてほしいな。