プライマル・スクリーム、ロック回帰アルバム「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ」

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、プライマル・スクリーム、ロック回帰アルバム「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ」…です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■今日は何の日

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
6月22日の頁には、こんな出来事が記されていました。

【誕生日】ボビー・ギレスピー(プライマル・スクリーム:1962)


マキシマム・ロックンロール:ザ・シングルズ/プライマル・スクリーム


ボビー・ギレスピー(Bobby Gillespie)。
ロック・バンド「プライマル・スクリーム」の創設メンバー、リード・シンガーです。

ボビーは1982年にプライマル・スクリームを結成、バンドの中心的なメンバーとして活動します。
一方で、初期のジーザス・アンド・メリー・チェインのドラマーも務め、アルバム「サイコキャンディ」に参加しました。

その後、プライマル・スクリームに集中するために、人気絶頂期のジーザス・アンド・メリー・チェインを脱退。
いくつかのシングルをリリースした後、1987年にデビュー・アルバム「ソニック・フラワー・グルーヴ」(Sonic Flower Groove)をリリースしました。


ソニック・フラワー・グルーヴ

この頃の音楽はパンクやインディーロックの影響を受けたものでしたが、やがて大胆なサウンド変化を遂げます。
エレクトロニックミュージックやダンスミュージックの要素を取り入れた、シングル「ローデッド」(Loaded)を1990年にリリース。

翌1991年にリリースした、同曲を含むアルバム「スクリーマデリカ」(Screamadelica)が大ヒットとなります。
ダンス的なグルーヴを大胆に取り入れたこのアルバムは、バンドの代表作であると同時に、同時代のイギリス音楽シーンを代表する作品となりました。


スクリーマデリカ

■ギヴ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ

ここまで音楽性を大胆に変化させるバンドもいません。しかし、彼らはスクリーマデリカの成功で止まりませんでした。
1994年リリースのアルバム「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ」(Give Out But Don't Give Up)では、まるでローリング・ストーンズのような、クラシック・ロックやブルースの色濃いサウンドに大きく変化。音楽シーンを驚かせました。


ギヴ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ

今日は、この音楽シーンもファンをも驚かせたロック回帰アルバムを取り上げましょう。
前作「スクリーマデリカ」の前衛的なサウンドから、ブルースやロックのルーツに回帰したサウンドへ、大胆な変化に挑んだアルバム「ギブ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ」。個人的なおススメはこちら。

なんといっても2曲め、「ロックス」(Rocks)。
まるでローリング・ストーンズ…。ギターの音もかき鳴らし方も、リズムの刻み方も。
さらに、ソウルフルな女性コーラスも鍵盤を弾く音もブラスの使い方も、ストーンズのように米南部サウンドの香りがぷんぷんします。
これが前作でエレクロニクスを取り入れたサウンドを演っていたバンドか…。音楽シーンもバンドのファンも驚きました。
同曲は、アルバムの1stシングルとしてリリースされ、全英7位、全米16位のヒットナンバーとなりました。

 

続いてシングルカットされたのが「ジェイルバード」(JailBird)。アルバムのオープニングナンバーです。
冒頭のリズムを刻む電子音は前作どおりかと油断してたら、突如切り込んでくるハードなギターにあっと言わされます。
さらにボビーの絡みつくようなボーカル、黒人女性コーラス、R&B風のブラス・サウンド。ここまでバタ臭いロックをやるとは…。ほんと驚きのサウンド変化です。

 

そして3曲め、「(I'm Gonna) Cry Myself Blind」
前2曲から一転して、ゆったりとしたテンポのフォーク風のナンバー。ギターとピアノの演奏が中心です。
歌詞は失恋した男性が悲しみに打ちひしがれている様子を歌っています。ボビーの哀愁漂うボーカルも印象的。
やはりこの曲もソウルやブルースの要素が取り入れられています。この曲を好きなファンも多い名曲ロックバラードです。

■メンフィス音源

なんとも王道なロックンロール、ルーツロックへのリスペクトも感じられるアルバムですよね、「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ」は。
それもそのはず、このアルバムは、もともと1993年にバンドが米南部メンフィスの名門「アーデント・スタジオ」で行ったセッションがスタートでした。

しかし当時、バンドのメンバーとアラン・マッギー(クリエーション・レコーズ)はその出来に満足せず、セッションを録り直します。
そして1994年、アーデント・スタジオでの音源パートは差し替えられ、現在知られている「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ」がリリースされました。

こうして、メンフィスで行われた初期セッションは「失われたメンフィス録音」として日の目を見ることはありませんでした。
しかし、それから四半世紀のときを経て、なんとそのセッションの音源がバンドメンバーのアンドリュー・イネスの自宅で見つかりました。


ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ:オリジナル・メンフィス・レコーディングス

この音源が2018年に、「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ:オリジナル・メンフィス・レコーディングス」としてリリースされています。
収録されている全24曲が未発表音源。「ジェイルバード」「ロックス」「コール・オン・ミー」などのメンフィス・セッション音源や、初期リハーサル・ジャムなどレア音源も収録されています。

これはファンにはたまりません…。メンフィス音源は、さらにブルースやクラシック・ロック色が濃いものとなっています。
こちらと、1994年リリース盤とを聴き比べるのもファンには一興です。

さて、そんなプライマル・スクリームの中心人物、ボビー・ギレスピー
今日(2023年6月22日)で62歳となりました。もちろん、いまも現役のミュージシャンとして音楽活動を継続しています。


CHAOSMOSIS

プライマル・スクリームは、2016年「CHAOSMOSIS」以来、しばらくスタジオ・アルバムのリリースがありませんが、2022年にポーツマスの音楽フェスで演奏するなど活動は続けています。
2023年5月には、ツアーをゴスペル合唱団を含めた12人編成で行うという発表もあり、今後の活動も注目されます。

今日(6月22日)は、ボビー・ギレスピーの誕生日ということで、プライマル・スクリームのアルバム「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ」をとり上げました。
誕生日おめでとう、ボビー・ギレスピー! ありがとう、「ギヴ・アウト・バット・ドント・ギブ・アップ」!

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