こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
去る10月2日、米国のロック・ミュージシャン、トム・ペティが亡くなりました。
今日は、ロック界の偉大なる才能の冥福を祈って、トム・ペティを紹介します。
■トム・ペティ
トム・ペティは、米国を代表するシンガー・ソングライターです。
1976年にトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの中心人物としてデビューを果たし、1989年からはソロ活動も並行して行うようになりました。
デビュー以来、アルバムをコンスタントにリリースしており、いずれもチャート上位を記録。直近の、2014年リリース「Hypnotic Eye」は、全米1位を獲得しました。
Hypnotic Eye/トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
ライブも精力的に行っており、その代表的な音源を集めたライブ・アンソロジーというBOXセットも出しています。
Live Anthology/トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
■トラヴェリング・ウィルベリーズ
そんなトム・ペティ。
アメリカにおける絶大な人気と比べると、日本での人気はいま一つ。残念ながら知らない人が多いのではないかと思います。
ちょっとバタ臭いアメリカン・ロックと、中途半端にアイドル然とした金髪のルックスが、日本人には受けなかったのかもしれません。
個人的にも、トム・ペティは、すすんで聴こうとは思わないアーティストでした。
そんな彼に対する個人的な評価が一変したのは、1988年のことです。
この年に、トム・ペティは、ボブ・ディランやジョージ・ハリスンらと共に、トラヴェリング・ウィルベリーズという覆面バンドを結成し、アルバムをリリースしました。
名作「トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.1」で、ボブディランやジョージ・ハリスン、ロイ・オービオソンといった大御所を相手に、堂々とした歌声を披露します。
それまでトム・ペティは、アメリカのハード・ロック寄りなロックスターかと、全くもって失礼な誤解をしていたのですが、このアルバムを聴いて、むしろフォークの影響の強い、正統派のシンガーソングライターなのだと、見方を一新しました。
以降、彼のアルバムを追っかけることになったのですが、やっぱり好きなのは、トラヴェリング・ウィルベリーズ前後。
特に、ウィルベリーズで一緒に演った、ジェフ・リンがプロデュースした2作はお気に入りです。
一つは、1989年リリースの、ソロアルバム「Full Moon Fever」。
ウィルベリーズの流れをくんだ、フォークのテイストを持ち味としたポップなロック・アルバムです。
いま一つは、1991年に、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ名義でリリースした「Into the Great Wide Open」。
同じくウィルベリーズの流れをくみながら、ハートブレイカーズとつくり上げることで、よりバンド色の強く、そして雄大なアルバムとなっています。
Into the Great Wide Open/トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
■個人的なオススメ
それでは、恒例の個人的なオススメです。
まずは、トム・ペティを好きになるきっかけとなったトラヴェリング・ウィルベリーズの名曲「Handle With Care」。
メイン・ボーカルはジョージ・ハリスンで、トム自身は中盤にちょっと登場するだけなのですが、ボブ・ディランとのコーラスは見事です。
Handle With Care/トラヴェリング・ウィルベリーズ
いまMVを見ると、残っているのはボブ・ディランとジェフ・リンだけになりました…。もうこの曲が聴けないかと思うと、胸が痛いです。
ちなみに、ウィルベリーズのアルバムには、トムがメイン・ボーカルをとる「Last Night」という名曲もあり、そちらもオススメです。
続いて、1989年のアルバム「Full Moon Fever」から「I Won't Back Down」。
ジェフ・リンらしい音のつくりに、スライド・ギターが重なり、カントリー・テイストのポップソングに仕上がっています。ポップなメロディも魅力的な名曲です。
I Won't Back Down/トム・ペティ
そして、1991年のアルバム「Into the Great Wide Open」の冒頭を飾る「Learning to Fly」。
ライブではアコースティックで演奏することも多いこの曲、やはりメロディが秀逸です。やさしいメロディに、トムのやさしい歌声がかぶさります。
歌詞もグッときます。
I'm learning to fly, but I ain't got wings
Coming down is the hardest thing
(空を飛ぶんだ 翼はないけど 落ちていくのが 一番つらいんだ)※ふゆき訳
きっと今頃、自由に空を飛んでいるでしょう。
享年66歳。米カリフォルニアの病院で家族やバンドメンバー、友人らに囲まれて、安らかに息を引き取ったそうです。
ありがとう、トム・ペティ!ご冥福を心よりお祈りいたします。