こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのアルバム「Angel Dream」です。
■トム・ペティ
2017年に惜しむらくもこの世を去ったアメリカン・ロックの至宝、トム・ペティ。
そのトム・ペティが25年前にリリースした名盤が、生まれ変わって登場しました。
それが今回紹介する「Angel Dream」です。
そんなアルバム、あったっけ?
…というペティ・ファンの皆さん、あなたは正しい。
実はこの「Angel Dream」の原型となるアルバムは、タイトルもジャケット・デザインも異なります。
それが、1996年にリリースされたアルバム「She's the One (Songs and Music from the Motion Picture)」(邦題:彼女は最高」)。
「She's the One (Songs and Music from the Motion Picture)」
同名の映画「She's the One」(邦題:彼女は最高)のサウンドトラックです。
このアルバム発売25周年を記念して、未発表曲を追加収録した再構成版「Angel Dream」がリリースされたのです。
■Angel Dream
本作「Angel Dream」は、カバー・アートを見てわかる通り、映画サウンドトラックのリイシューではありません。
トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのアルバムとしてリリースされています。
この背景には、1994年発表のソロ・アルバム「Wildflowers」に対する再評価の動きがあります。
彼の最高傑作との呼び声も高い同アルバム。制作当初は2枚組を計画していましたが、レーベルの意向でやむなく1枚に短縮しました。
そのため、未発表音源がたっぷりとあるんですね。
それが惜しみなく収録されたデラックス盤「Wildflowers &All The Rest」が2020年にリリースされています。
Wildflowers &All The Rest(レコード盤)
スーパー・デラックス盤は5枚組CDもしくは9枚組LPというとんでもないボリュームだったので、もう打ち止めかと思っていましたが、まだありました…。
今回、「Wildflowers」時代に書かれた4曲の未発表音源が新たに「Angel Dream」に収録されています。
その4曲とは、ペティのオリジナル曲2曲(「105 Degrees」「One of Life's Little Mysteries」)、J.J.ケイル「Thirteen Days」のカヴァー、ペティが作曲したインストゥルメンタル曲「French Disconnection」です。
いずれも、アルバム収録曲に引けを取らないロック・ナンバー。この時期のトム・ペティの脂の乗り具合に感嘆します。
まさにアメリカン・ロックの至宝、トム・ペティ…。
その急逝はあまりにも悲しい出来事ですが、それでもこうして新たな音源に出会えるのは嬉しい。
天国のペティからの珠玉の贈り物。天使が届けてくれた夢のようなアルバム、それが「Angel Dream」です。
■個人的なおススメ
それでは、そんなトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのアルバム「Angel Dream」から、個人的なおススメです。
まずは、1曲め「Angel Dream(No.2)」。
アコースティック・ギターの美しい奏でとペティのやさしい歌声。
まるでペティが目の前のステージで演奏しているよう…。フォーク・シンガー、トム・ペティの魅力が存分に伝わるオープニング・ナンバーです。
続いて、8曲め「Thirteen Days」。
唸るようなスライド・ギターに、粘っこいペティのボーカル。
米南部のテイストただようブルージーなナンバー。ペティが敬愛した米シンガーソングライター、J.J.ケイルのカヴァーです。
そして、9曲め「105 Degrees」。
ロックンローラー・ペティの魅力たっぷり、ロカビリー風のノリのいいロック・ナンバーです。
ペティのストレートにして情感のこもった「What do you want?」(お前は何を望むんだ?)。サビごとに少しずつ歌い方が変わるのも聴きどころ。
中盤のギター・ソロとオルガンのコラボなんて最高です。
アメリカン・ロックの至宝トム・ペティ、ここにあり。
彼の歌声は、これからも生き続けます。25年の時を経て届けられた珠玉の歌声「Angel Dream」。新たな名盤が生まれました。
ありがとう、トム・ペティ! ありがとう、「Angel Dream」!