こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、英ロックバンド・ステレオフォニックスの新譜「Kind」です。
■ステレオフォニックス
ステレオフォニックス。
英ウエールズ出身のギターロック・バンドです。
1997年、1stアルバム「ワード・ゲッツ・アラウンド」で一躍注目を集めると、2ndアルバム「パフォーマンス・アンド・カクテルズ」が初登場全英1位を獲得。
これまでリリースした10枚のアルバムのうち6枚が全英1位を獲得するなど、英国で絶大な支持を得ているバンドです。
その魅力は骨太なギター・ロックとライブ・パフォーマンス。
前作「Scream Above The Sounds」(2017年)後の世界ツアーでもソリッドで熱いステージを魅せつけ、次作が待ち焦がれてるところでした。
そして2019年、ついに待望のニューアルバムがリリースされました。
通算11枚めとなるアルバムのタイトルは「Kind」。
さあ、再び熱いギター・ロックを堪能しよう!…と思ったら、これがちょっとびっくり。
そこに収録されているのは、これまでの彼らの音楽とは一味も二味も異なる、やさしく美しい楽曲たち。
粗削りで、繊細で、なんら飾られていない「生」(なま)の音楽。
まるで今ストリートで弾いているような音楽が散りばめられているんです。
それもそのはず。実はこのアルバム、シンプルな機材だけで11日間でレコーディングされました。
前作の世界ツアーを終えて、「燃え尽き症候群」のようになったバンドの中心人物・ケリー・ジョーンズ(ボーカル&ギター)。
彼がしばらく立ち止まって、自然に沸いてきた楽曲を、余計な味付けをせず一気に仕上げたのがこのアルバムです。
それが逆に彼らの魅力を引き出しました。もともとオルタナ・カントリーやフォークのテイストは持っていたんですよね。
そうしたアナザー・サイド・オブ・ステレオフォニックスを存分に楽しめるアルバム。それが「Kind」です。
■個人的なおススメ
それでは、そんなアルバム「Kind」から、個人的なおススメを紹介します。
まずは2曲め「Fly Like an Eagle」。
ケリーが今回のアルバムで一番最初に作った曲だそうです。
これでこのアルバムの流れが決まったんでしょうね。アルバムを象徴するようやさしく懐の深い楽曲です。
アルバムの先行シングルになりました。
続いて3曲め「Make Friends With The Morning」。
ステレオフォニックス版ゴスペルとも言うべき美しい楽曲です。
余計な装飾の無い音のつくりだから、ケリーの歌声がそのまんまハートに届きます。
そのハスキーな声はロック向きかと思ったけど、ソウルにも合うんだな…。そんな新たな魅力に出会えた名曲です。
そして、9曲め「Don't Let The Devil Take Another Day」。
アルバムの中では数少ないバンド・サウンドを奏でながらも、その音は生々しく、そのメロディは美しい…。
やっぱりケリーの歌声に引き込まれてしまう、カントリー・テイストあふれる一曲です。
ちなみに、デラックス盤には、ボーナストラックとしてケリーとジェイミー(ドラム)によるデモが収録されているんですが、これがもう、このアルバムの魅力をまんま伝えているように思います。
彼らは意図的に、余計な装飾をせずに、今の彼らが向き合っている音楽を伝えたかったんではないでしょうか。
それは順調に歩んできたバンドにとってチャレンジングかもしれませんが、間違いなく必要で正しい選択であったと思います。
ありがとう、ステレオフォニックス! ありがとう、「Kind」!