こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、ポール・マッカートニー&リンダ・マッカートニーのアルバム「ラム」をとり上げます。
■今日は何の日
いつも愛用しているタワレコ手帳。
1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されています。
3月12日のページには、こんな出来事が書かれていました。
3月12日 【出来事】ポール・マッカートニーとリンダ・イーストマンが結婚(1969)
ポール・マッカートニーは、言わずと知れたビートルズのメンバー。御年77歳。今も現役バリバリですね。
その元妻がリンダです。2人が結婚したのが、1969年3月12日でした。
ポールとリンダはロンドンのクラブで知り合います(1967年)。
その後、2人は意気投合すると、ビートルズのセッションにリンダが姿を現すようになります。
本業がカメラマンのリンダ。彼女の撮った貴重なレコーディング写真は今も残されています。
2人が結婚した1969年は、ビートルズの活動末期。
幸せな結婚生活とは対照的に、ビートルズは実質的なラストアルバム「アビー・ロード」をリリース(1969年)すると、その翌年に解散しました。
ポールはその後、ソロアルバム「マッカートニー」をリリース(1970年)。
リンダは、このアルバムのジャケット写真を撮影、さらにバック・ボーカルも担当しています。
■ラム
今日とり上げるアルバムは、その翌年にリリースされたアルバム「ラム」です(1971年)。
実はこのアルバムは、ポール・マッカートニー&リンダ・マッカートニー名義。2人の名義による唯一のアルバムです。
共作の形をとっているものの、多くの楽器をポールが演奏。
楽曲作成、リードボーカルもポール。リンダはコーラスを担当しています。
当時は、ジョン・レノンが1stソロアルバム「ジョンの魂」をリリース(1970年)。「マザー」や「ゴッド」などの問題作を世に出していました。
それに対して、羊をジャケットに配したピースフルなアルバム「ラム」は英米メディアから叩かれました。
ただ、後に「ラブ・ソングを歌っちゃいけないのかい?」なんて歌(「心のラブ・ソング」原題:Silly Loves Songs)をつくっちゃうポール。
ピースフルなサウンド、つい口ずさみたくなるメロディ。これがポールの持ち味なんだよね。
全英1位、全米2位を記録。今でもポール・ファンの中で根強い人気を誇るアルバムになっています。
私生活では、1男2女に恵まれた2人。
リンダはその後、ポールが結成するウィングスにもキーボード&ボーカルとして参加。バンド解散後も夫のソロ活動を支えていきます。
しかし1995年、乳癌が発覚。一時快方に向かいますが、1997年に再発。その翌年、天に召されました。
享年56歳。最後は、アリゾナ州の別荘で家族と一緒に過ごしたそうです。
■個人的なおススメ
それでは、ポールとリンダの共作アルバム「ラム」から、個人的なおススメを紹介します。
まずは5曲め「アンクル・アルバート~ハルセイ提督」(原題:Uncle Albert / Admiral Halsey)。
ポップ職人ポールの魅力をたっぷり味わうことのできる、玉手箱のようなポップソング。
雨の音や雷の音を差し込んだり、弦楽器を効果的に組み込んだり、極めつけはアビー・ロードB面で培った異なる曲をつなぎ合わせる技…。
何が飛び出すかわからない音楽の玉手箱。ポップ職人ポールの技が光ります。
さらに7曲め「故郷のこころ」(原題:Heart of the Country)。
これもポールの持ち味の一つ、ポール流カントリー・チューン。「夢の人」(原題:I've Just Seen a Face)から続く系譜です。
心地の良いアコースティック・サウンド。ピースフルだっていいじゃない。ねぇ、当時のメディアさん。
そして12曲め「バック・シート」(原題:The Back Seat of My Car)。
アルバムのラストを飾るにふさわしい、ポップ職人の匠をつぎ込んだ凝りに凝ったナンバー。
すごいな、ポール。メロディもその転調もリズムも、常人には絶対につくれないポップソング。
サビの歌詞「Oh, we believe that we can't be wrong」(僕らは間違っていないさ、そう信じてるよ)は、ビートルズのこと?自分たち(ポール&リンダ)のこと?
いま聴いてもすごいアルバムなんだよなぁ、「ラム」。
リリース当時の不当な評価が、本当に信じられない傑作アルバムです。
3月12日は、ポールとリンダの結婚記念日。リンダも天国でこのアルバムを聴いてるんじゃないかな。
ありがとう、ポール&リンダ! ありがとう、ラム!