あの夏の幻影を追いかけて。ドン・ヘンリー「ボーイズ・オブ・サマー」

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、あの夏の幻影を追いかけて。ドン・ヘンリー「ボーイズ・オブ・サマー」です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■ホテル・カリフォルニアの残影

イントロのどこか乾いたスネアとハイハットのビート、そして切なくむせぶようなギターの音色…。
そこに彼のハスキーでエモーショナルな歌声が重なると、一瞬にして「あの夏」の情景へと引き戻されます。

今回ご紹介するのは、元イーグルスのドラマーであり、稀代のメロディメーカーでもあるドン・ヘンリーの名曲
彼が1984年に放ったソロ最大のヒット曲「ボーイズ・オブ・サマー」(The Boys of Summer)です。


Building the Perfect Beast

この楽曲を語る上で外せないのが、どうしても拭い去ることのできない「ホテル・カリフォルニア」の残影です。
イーグルスの名曲「ホテル・カリフォルニア」が70年代アメリカの夢と挫折を完璧に描き出した曲だとしたら、「ボーイズ・オブ・サマー」はその後の世界を描いていると言えます。
どこか退廃的で、華やかな季節が去った後の寂しさが漂う空気感は、まさにあの名曲の遺伝子を引き継いでいるのです。


ホテル・カリフォルニア/イーグルス

タイトルにある「ボーイズ・オブ・サマー」とは、直訳すれば「夏の少年たち」ですが、ここでは「かつて輝いていた自分たち」の象徴として使われています。
物語の主人公は、誰もいなくなった海岸通りをドライブしています。夏が終わり、あの賑やかだった若者たちもみんな去ってしまった。そして、かつて隣にいた恋人の姿もそこにはありません

Nobody on the road / Nobody on the beach
I feel it in the air / The summer's out of reach
通りには誰もいなくなった。ビーチにも誰もいない。
漂う風に感じるんだ。夏はもう過ぎ去ったことを。

Empty lake, empty streets / The sun goes down alone.
I'm driving by your house / Though I know you're not home.
誰もいない湖、誰もいない大通り。太陽はしずかに沈んでいく。
君の家の近くをドライブしてるんだ。君がいないことはわかっているのに。

彼は、自分のもとを去っていった恋人への未練を断ち切れないまま、心の中で彼女の幻影を追いかけています。

But I can see you / Your brown skin shining in the sun
You got your hair combed back / And your sunglasses on, baby
I can tell you my love for you will still be strong /After the boys of summer have gone
だけど僕には君が見える。日差しの中で輝く褐色の肌がね。
髪を後ろにかき上げる君は、サングラスをかけていたね。
はっきり言えるよ。君への愛は今も色あせていない。あの夏の少年たちがいなくなっても。

■ボーイズ・オブ・サマー

それでは、そんなホテル・カリフォルニアの余韻あふれる名曲、ドン・ヘンリーの「ボーイズ・オブ・サマー」を聴きましょう。
Back to the 1984! Don Henley, "Boys Of Summer". Here we go!

いやぁ、すばらしい曲ですね。その声、その世界観から、誰もが名曲「ホテル・カリフォルニア」を思い浮かべてしまいます。
これは、ドン・ヘンリーがずっと負わなければならない宿命のようなもの。彼は、そのプレッシャーに圧し潰されることなく、この「ボーイズ・オブ・サマー」をつくり出したともいえます。

印象的なのは、2番の歌詞に登場する「デッドヘッド(Deadhead)のステッカーを貼ったキャデラック」というフレーズです。
デッドヘッドとは、60〜70年代のヒッピー文化を象徴するバンド「グレイトフル・デッド」の熱狂的なファンのこと。
かつて反体制や自由を歌っていたヒッピー世代が、80年代になって高級車に乗り、物質主義に染まっていく現実を皮肉交じりに、そしてノスタルジックに描写しているのです。


Building the Perfect Beast(LP盤)

もしかしたらドンは、かつて在籍したイーグルスすらも商業化して解散してしまった現実をも皮肉っているのかもしれません。
時代の変化に戸惑いながらもも、「僕の君への愛は、あの頃のまま変わらない」と不器用に歌うドンのハスキーボイスが、聴く者の胸に突き刺さります。

今日の夢中は、あの夏の幻影を追いかけて。ドン・ヘンリー「ボーイズ・オブ・サマー」でした。
ありがとう、ドン・ヘンリー! ありがとう、ボーイズ・オブ・サマー!

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