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館長のふゆきです。
今日の夢中は、プライマル・スクリーム「カム・アヘッド」!70年代ソウルやディスコ、シティポップ風の楽曲も…です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。
■カム・アヘッド
プライマル・スクリーム(Primal Scream)が、8年ぶりとなる新作をリリースしました。
アルバムのタイトルは「カム・アヘッド」(Come Ahead)。グラスゴーの言葉で、誰かが喧嘩を売ってきたら「かかってこい!」(Come Ahead)と言うのだとか。
なかなかに不遜なタイトルですね…。そんなグラスゴー出身のフロントマン、ボビー・ギレスピーは本作について次のように語っています。
「初めてのアルバムを制作するのと同じくらい興奮したよ。本作に全体的なテーマがあるとすれば、それは内面であれ外面であれ、葛藤になるかもしれない。」
全11曲。曲作りは2019年から始まり、ボビーがアコースティック・ギターを使って一人で作曲したそうです。
だからなのか、打ち込みやサンプリングからつくり出す音ではなく、生身のどことなく懐かしいサウンドが多い印象。
一時マッドチェスター・ムーブメントを巻き起こしたような尖がったサウンドとは一線を画す、レトロ・グッドな楽曲がアルバムの多くを占めます。
サウンドの特徴は、70年代ソウルやディスコからインスパイアされた楽曲を中心として、日本のシティ・ポップ風な楽曲もあったりして、聴きごたえ十分。
過去の作品の系譜を受け継ぎながらも新たなサウンドに挑戦した感じで、これがボビーの言う「初めてのアルバムを制作するのと同じくらい興奮した」理由なのかも。
まさに「かかってこい!」(Come Ahead)というタイトルそのまま、新たなプライマル・スクリームのサウンドに浸れるアルバムとなっています。
■個人的なおススメ
それでは、そんなプライマル・スクリームの新譜「カム・アヘッド」から、個人的なおススメを紹介しましょう。
まずは1曲め、「Ready To Go Home」。
いきなり始まるゴスペル調のアカペラ。そこにエレクトリカルな音が重なって、一気にダンサブルな曲調に変わっていきます。
プライマルのこれまでの作品の延長線にありながらも、さらにレトロでソウルな味付けを足し合わせたよう。こういうの、ボビーは好きなんだろうな…。
すこし頼りなげなボビーのボーカルと、力強い女性ボーカルとが対照的で面白い。「かかってこい」(Come Ahead)というタイトルに相応しいアルバムの幕開けです。
続いて2曲め、「Love Insurrection」。
アルバムからの1stシングル。これまた70年代ソウルやディスコの影響が色濃くうかがえるサウンド。どことなく日本のシティ・ポップにも通じる音になっています。
ベースに流れるダンサブルなビートに、抒情的な弦楽器のオーケストレーションが施されていて、円熟のプライマル・サウンドを醸しだします。
前曲同様、ソウルフルな女性コーラスと儚いボビーのボーカルの対比は特徴的。聴くほどにハマっていくプライマル節です。
そして4曲め、「Innocent Money」。
冒頭から抒情的に奏でられる弦楽器のオーケストレーション。この流れでお洒落なシティ・ポップに移っていってもおかしくない…。
ただ、そこからがボビー節の真骨頂。女性コーラスにラップ調のボーカルが重なり、ソウルフルでディスコ調な音の世界に誘います。
特に曲の後半、弦楽器などのサウンドを落として、あえて女性ボーカルとボビーの声を前面に出した、生身のあるサウンド展開は痺れます。
いやぁ、8年ぶりのプライマル・サウンドにすっかり浸りました。円熟したようでいて新たな魅力も取り入れた、2020年代のプライマル・サウンド。
今日の夢中は、プライマル・スクリーム「カム・アヘッド」!70年代ソウルやディスコ、シティポップ風の楽曲も!でした。
ありがとう、プライマル・スクリーム! ありがとう、「カム・アヘッド」!