こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、90年代に鮮烈な印象を放った英インディーズ・バンド、ペイル・セインツ。
その2ndアルバム「イン・リボンズ」(In Ribbons)30周年記念盤をとり上げます。
■ペイル・セインツ
ペイル・セインツ(Pale Saints)。
直訳すると、"青白い聖人"あるいは"青ざめた聖者たち"という意味になります…。
結構そんな意味もハマる気がするイギリスのロックバンド…それが今日とり上げる「ペイル・セインツ」です。
彼らは90年代初頭に音楽シーンに降って現れ、耽美なギター・ロックでUK音楽シーンに衝撃をもたらしました。
その鮮烈なデビュー作が、1990年リリースの「狂気のやすらぎ」(原題:「The Comforts of Madness」)です。
本作はリリースされるや、英インディーズ1位を獲得。全英チャートでも40位にランクインしました。
狂気の安らぎ(The Comforts of Madness)
その音楽の特徴は、いわゆる「シューゲイザー」に分類される、ギターのエフェクトやディストーションを多用したドリーミーなロック。
時代に強烈な印象を刻んだデビュー作は、2020年に30周年記念盤が出され、往年のファンからも現代のロックファンからも熱い支持を受けました。
そして、やはり来ました。彼らが1993年にリリースした2ndアルバム「イン・リボンズ」。
2023年がリリース30周年のメモリアルイヤーということで、「イン・リボンズ」30周年記念盤がリリースされたのです。
拍手&感謝!まさか「イン・リボンズ」までリイシューされるとは…。これも1stアルバムの30周年記念盤が成功したからでしょう。
しかも、貴重なデモ音源やブラス・バンド・バージョンが収録されたボーナス・ディスク付き。ファン悶絶まちがいなしです。
そんな熱烈なファンにとって、このアルバムは少し苦い記憶を思い起こす作品かもしれません。
というのも、中心メンバーのイアン・マスターズがこのアルバムを最後に脱退するんですよね…。なお、バンド自体も次のアルバムをイアン抜きで制作した後、自然消滅的に解散することになりました。
そうしたアフターストーリーを踏まえると、本作は"青ざめた聖者たち"の実質的なラストアルバムと言えるかもしれません。
今日の夢中は、ペイル・セインツの2ndアルバム「イン・リボンズ」30周年記念盤です。
■個人的なおススメ
それでは、そんなペイル・セインツの2ndアルバム「イン・リボンズ」30周年記念盤から、個人的なおススメです。
まずは1曲め、「Throwing Back the Apple」。
ペイル・セインツ第2章の幕開けを告げるナンバー。衝動的なノイジー・サウンドで曲は始まります。
それが30秒ほど続いた後、やおらギターの旋律が鮮明に奏でられると、そこからポップでドリーミーな世界が広がります。
イアン・マスターズの儚くもやさしいボーカルが心地いい…。本作から元Lushのメリエル・バーハム(ギター&ボーカル)が加入。ツイン・ギターが新たな魅力になっています。
続いて2曲め、「Ordeal」。
地を這うようなノイジー・ギター…。そこにエレキ・ギターとベース&ドラムが重なり、曲が形を成していきます。
破壊的なサウンドのなかで、イアンのボーカルだけは規律を守るように、甘いメロディを辿ります。
メロディはポップなんですよね…。それがペイル・セインツの魅力でもあります。いろんなサウンドの試みも詰められた名曲です。
そして3曲め、「Thread of Light」。
新加入のメリエル・バーハム(元Lush)がボーカルをとるナンバー。一聴するとLushのよう…。
本作は、前作に比べてスロー・テンポな曲が多いのですが、その象徴のようなナンバー。新しいペイル・セインツの世界が現示されます。
聴くほどに耽美なサウンドに引き込まれていきます。イアンとメリエルのダブル・ボーカル…悪くないんだけどなぁ。イアンは受け入れられなかったのでしょうか…。
いやぁ、久しぶりに聴きましたが、いま聴いても全く色褪せていないシューゲイザー・サウンドです。
ちなみにアルバムのボーナス・トラックでは、アルバム未収録の「Babymaker」やシングル「Kinky Love」のデモ音源を聴くことができます。
これはしばらくヘビロテしそう…。今日の夢中は、ペイル・セインツ2ndアルバム「イン・リボンズ」30周年記念盤でした。
ありがとう、ペイル・セインツ! ありがとう、「イン・リボンズ」!