弾けるUKギター・シンセ・ポップ!ザ・ウォンバッツ「Fix Yourself, Not The World」

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こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、弾けるUKギター・シンセ・ポップ!ザ・ウォンバッツ「Fix Yourself, Not The World」です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■ザ・ウォンバッツ

ザ・ウォンバッツ(The Wombats)
英リヴァプールで結成された3人組ロック・バンドです。

メンバーは、マシュー・マーフィー、ダン・ハギス、トード・オーヴァーランド・クヌーゼンの3人。
この3人が、リヴァプール・インスティテュート・フォー・パフォーミング・アーツ(LIPA)在学中に出会い、2003年にバンドを結成しました。

バンドは2004年から2005年にかけて多くのEPをリリースし、豊富なポップ・センスを知らしめます。
2006年にはアルバム「Girls, Boys and Marsupials」を、なんと日本のみでリリース。翌年には「Fuji Rock Festival 07」出演を果たします。


Girls, Boys and Marsupials

その2007年には、1stメジャーアルバムとなる「A Guide to Love, Loss &Desperation」をリリース。
ギター・ポップとシニカル満載のこの作品でUKロック・ファンの心を掴みました。アルバムは全英アルバム・チャート11位を獲得、プラチナ・セールスを達成しました。


A Guide to Love, Loss &Desperation

バンドの勢いは止まりません。2011年に2ndアルバム「This Modern Glitch」をリリース。このアルバムは全英チャート3位を獲得。
続く3rdアルバム「Glitterbug」(2015)も全英5位、さらには全米アルバム・チャートにもランクインを果たします。2018年には4thアルバム「Beautiful People Will Ruin Your Life」をリリース、全英3位を獲得して根強い人気を示しました。


This Modern Glitch

■ix Yourself, Not The World

彼らの音楽は、アルバムを出すごとに多彩な進化を遂げていきました。ギター・ポップにシンセ・ポップ、ダンス・ミュージック…。
そして2022年1月、いまの最も進化した彼らの音楽を詰め込んだアルバム「Fix Yourself, Not The World」がリリースされました。


Fix Yourself, Not The World

これがなんと、全英アルバム・チャート初登場で第1位を獲得
バンド結成から約20年、ザ・ウォンバッツが一躍、2022年の注目バンドにのし上がったのです。

すごいなぁ、ザ・ウォンバッツ。全英1位を獲得するなんて…。
結構インディーズ色の強いバンドと思ってましたが、本作を聴いて印象は一新しました。

その音は、UKシンセ・ポップの系譜を受け継ぐメインストリーム
ギター・ロックを中心にしながらも、エレクトロ・ポップを大胆に取り込んで独特なグルーヴを醸し出しています。

このシンセサイザーを効果的に使ったダンサブルなサウンドは、英国が生んだペットショップ・ボーイズにも相通じます。
そう言えば、ウォンバット(Wombat)も動物だし、ペットショップとは動物つながりなのか…?いや、それは全く関係なし(苦笑)。


Fix Yourself, Not The World(レコード盤)

いずれにしても、ザ・ウォンバッツはインディーズ・ロック・ファンにもダンス・ポップ・ファンにも受け入れられるサウンドをつくり出したのです。
偶然なのか狙ったのか…。彼らの持つ多様な音楽性が、そうした懐の深いポップ・ソングを生み出す土壌となったのでしょう。

ザ・ウォンバッツのアルバム「Fix Yourself, Not The World」は、広く英国ミュージック・シーンに受け入れられました。
館長ふゆきも夢中です。全英No.1おめでとう、ザ・ウォンバッツ!

■個人的なおススメ

それでは、そんなザ・ウォンバッツのアルバム「Fix Yourself, Not The World」から、個人的なおススメです。

まずは2曲め、「This Car Drives All By Itself」
やさしいアコギでスタートするポップ・ナンバー。30秒ほどすると一転、UK直系のエレクトロ・ポップに生まれ変わります。
少しペットショップ・ボーイズ風に聞こえませんか?それよりも遊び心ある感じ。音が弾けます。
曲のタイトルそのまま、壮絶なカーチェイスを繰り広げるMVも最高。この辺も英国伝統のシニカルが効いていますね。

続いて3曲め、「If You Ever Leave, I'm Coming With You」
これまた英国伝統を受け継ぐギター・シンセ・ポップ。歌詞もメロディも少しひねた感じで、それが彼らの魅力になっています。
この曲もよく聴くと、いろんな音が盛り込まれていて、ひと癖もふた癖もある作りになっています。彼らの底知れないポップ・センスが感じられるナンバーです。

続いて4曲め、「Ready For The High」
一転して、ヘヴィーめのギター・ロック。こんな曲もやれるんだよね、ほんと懐が深い。
歌い方もファルセット・ボイスを使ったりして、Aメロ・Bメロとサビを意識的に変えている感じ。音の方は後半、ブラスを効果的に使っていて、同じ曲のなかで2度楽しめる感じ。これはライブ受けするでしょうね。

ザ・ウォンバッツの全英No.1アルバム「Fix Yourself, Not The World」
彼らの音楽の多様性と、ポップ・ミュージックのポテンシャルを体感できるアルバムです。

ちなみに、「ウォンバット」(Wombat)は、オーストラリアに棲息する哺乳類ですが、バンド名はそれに由来したものではありません。
そもそも動物の名前だったことを知らなかったみたい。でも、ザ・ウォンバッツはやはり(?)オーストラリアでも人気を博しています。

ありがとう、ザ・ウォンバッツ! ありがとう、「Fix Yourself, Not The World」!

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