こんにちは。夢中図書館へようこそ。
館長のふゆきです。
今日は、米ロック・バンド「ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ」(They Might Be Giants)の新譜「BOOK」をとり上げます。
■ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ
ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ(They Might Be Giants)。
1982年、米ニューヨークのブルックリンで結成されたロック・バンドです。
この長いバンド名は、1971年の米コメディミステリー映画のタイトルからとっているのだとか。
頭文字をとって「TMBG」と記されることも多いです。
中心メンバーはジョン・リネル(John Linnell)とジョン・フランズバーグ(John Flansburgh)。
はじめはデュオとして活動、後にバックメンバーを増強しています。
アルバムデビューは、1986年にリリースしたセルフタイトルアルバム「ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ」(They Might Be Giants)。
これが、米カレッジラジオで注目を集めます。シュールな歌詞や実験的な音楽スタイルは、新しいもの好きの若者たちを惹き付けました。
その個性的なポップミュージックは、続く2ndアルバム「リンカーン」(Lincoln/1988年)でさらに輝きを放ちます。
シングル「AnaNG」がスマッシュヒットすると、メジャーレーベルのエレクトラ・レコーズから声がかかります。
そして同レーベルから1990年に、3rdアルバム「フラッド」(Flood)をリリース。
このアルバムは、シングル「Birdhouse In Your Soul」「Istanbul」などのヒットもあって、全英・全米チャートにランクイン。バンドにとって最も売れたアルバム、バンドを代表するアルバムとなりました。
■BOOK
彼らはその後も、さまざまな形で新しい音楽を追求していきます。
アルバム「アポロ18」(1992年)では、CDプレイヤーのシャッフル機能を利用したアルバムとしてリリース、先進的な作品として注目されました。
さらに、いち早くインターネットに注目したバンドは、1990年代末にmp3方式によるアルバムをリリース。
アルバム全体を独占的にインターネット配信した、最初のメジャーレーベル・アーティストになりました。
彼らは、映画やアニメ、文芸雑誌とのコラボ、楽曲提供も積極的に行っています。
その一つ、子供向けのアルバム「NO!」(2002年)をリリースすると、これがスマッシュヒット。
彼らの型にハマらないポップミュージックは、発想無限大の子供たちに受けました。
さらに「Here Comes the ABCs」(2005年)や「Here Comes the 123s」などの子供向けアルバムをリリース。
ディズニーチャネルに向けた楽曲提供なども行い、幅広いファン層を獲得しています。
そんな彼らの23枚目となるスタジオアルバムが「BOOK」(2021年)です。
デラックスセットは、そのタイトル通り、144ページの布製ハードカバーアートブックを収録。
アート文化と音楽のコラボという、彼ららしいチャレンジでTMBG健在を示しています。
もちろん、音楽の方も、TMBGならではのポップで個性的なサウンドは健在。
まるで初期のアウトテイクかと思うほどの若々しい楽曲もあります。子供向けの歌をつくってるから、フレッシュさを失わないのかもしれませんね。
■個人的なおススメ
それでは、ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツの新譜「BOOK」から、個人的なおススメです。
まずは7曲め、「I Can’t Remember the Dream」。
これぞTMBGサウンド!ソリッドなサウンドにポップなメロディ。
3分のなかに様々な仕掛けが施されています。初期のヒット曲「AnaNG」を彷彿させるナンバー。
ほんと若々しいな…。まるで、ゼイ・マイト・ビー・ヤングメン!
続いて2曲め、「Moonbeam Rays」。
これまた3分に満たないポップソングなんだけど、彼らの魅力がたっぷり詰まっています。
特に2人のコーラスが全編にわたって聴けるのは嬉しい。曲調もそうだけど、声まで往年のまま…。
MVでは真面目かつユーモラスに歌う彼らを見ることができます。フランズバーグ、太ったな…。それがまたユーモラスさを増してるのもご愛嬌(笑)。
そして3曲め、「Part of You Wants to Believe Me」。
もう、ここまで楽しい3分ポップを演ってくれたら、TMBGファンとしては本望です。
パンクでも甘メロでもない。ひと癖もふた癖もあるんだけど、彼らの器に放り込むと、珠玉のTMBGポップソングになります。
この「楽しい」って、音楽の原点だよな…。楽しい3分ポップ。ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツの最大の魅力です。
いやぁ、楽しかった。15曲もあるんだけど、それぞれが3分ほどだからあっという間。
ショートアニメを見てるかのように、楽しくて彩り豊かなアルバムでした。
ありがとう、ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ! ありがとう、「BOOK」!