ザ・コーラル「シー・オブ・ミラーズ」!サイケでフォークなコーラルの世界へ

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、ザ・コーラル「シー・オブ・ミラーズ」!サイケでフォークなコーラルの世界へ…です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■ザ・コーラル「シー・オブ・ミラーズ」

英リヴァプール出身のロックバンド、ザ・コーラル(The Coral)の新譜がリリースされました(2023年9月)。
アルバム名は「シー・オブ・ミラーズ」(Sea of Mirrors)。通算11作目となるスタジオ・アルバムです。


シー・オブ・ミラーズ

決して派手なバンドではないんだけど、英国ギターロックの系譜を受け継ぐバンド。根強い人気を誇ります。
2021年リリースの前作「コーラル・アイランド」(Coral Island)は、2枚組の意欲作にして全英2位を獲得。大成功を収めました。


コーラル・アイランド

さらに2022年には、デビューアルバム「The Coral」の20周年記念盤をリリースしています。
エネルギッシュですね…。デビュー20年を超えても音楽に対する創作意欲は衰えるところを知りません。

今回も、本作「シー・オブ・ミラーズ」と同時にもう1枚、アルバム「Holy Joe’s Coral Island Medicine Show」をリリースしています。
これは、前作「コーラル・アイランド」のスピンオフとなるアルバムで、本作「シー・オブ・ミラーズ」への架け橋的な作品となっています。


Holy Joe’s Coral Island Medicine Show

そのほとばしる創作意欲を示すように、本作「シー・オブ・ミラーズ」のコンセプトも興味深い…。
インスパイアされたのは、60年代イタリアのスパゲッティ・ウエスタン…。アルバムは、イタリア西部劇の架空のサウンドトラックをコンセプトに作られたといいます。

実際にアルバムのデザインもMVなどのキービジュアルも西部劇風…。音まで、イタリア西部劇風に聞こえます。
アルバムからの1stシングル「Wild Bird」なんかを聴くと、アルバムの世界観や音のコンセプトがよく分かります。


シー・オブ・ミラーズ(レコード盤)

音楽誌ローリングストーンがこのサウンドを「サイケデリックなレンズを通したカントリーロック」と評していますが、まさに言い得て妙。
ザ・コーラルの持ち味であるサイケポップに、乾いた砂漠の風景が浮かぶようなフォーク風サウンドも加わり、新たなコーラルの世界が広がります。

ようこそ、サイケでフォークなコーラルの世界へ…。聴けば聴くほどハマっていくコーラル・サウンドの魅力は、本作でも健在。
いや、むしろその魅力が熟成していると感じられます。それが本作「シー・オブ・ミラーズ」。現在ヘビロテ中です。

■個人的なおススメ

それでは、ザ・コーラルの新譜「シー・オブ・ミラーズ」から、個人的なおススメです。

まずは2曲め、「Cycles Of The Seasons」
1曲めのインスト曲に続くアコースティック調のナンバー。この流れ、最高です。
ほんと、映画のオープニングみたい。ようこそ、サウンド・オブ・ザ・コーラルへ…。
飾り気のないアコギとドラムは60年代風、そこに重なるストリングスがサウンドを豊かにします。心和む美しいナンバーです。

続いて4曲め、「Wild Bird」
架空のイタリア西部劇のサウンドトラックというコンセプトを象徴するようなナンバー。
目の前に埃っぽい砂漠の風景が浮かびます。カントリー調の独特なリズムも印象的。これまでにない「映画的」なコーラル・サウンドです。
この曲をつくったリード・シンガーのジェームズ・スケリーは、アルバムのコンセプトが決まると、5分ほどで書き上げたと言っています。
マジか…。天性のソングライターですね。アルバムからの1stシングルです。

そして8曲め、「That’s Where She Belongs」
こちらもシングルカットされたナンバー。コーラルの楽曲に共通なんですが、決して派手な抑揚があるわけじゃない。
ただ、楽曲トータルの完成度がめちゃ高い。メロディが美しい。コーラスが美しい。ストリングスが美しい…。
歌詞も情景が浮かぶよう。「Standing in the sun / That's where she belongs」(太陽の下に立つ彼女 / そこが彼女の居場所なんだ)なんて、映画のワンシーンのようです。


素晴らしいアルバムです。ザ・コーラル「シー・オブ・ミラーズ」
架空の映画のサウンドトラックというコンセプト通り、楽曲を聴いていくと目の前に情景が浮かんでくるから不思議です。

もう、ザ・コーラルの魔法にかかってるんだろうな…。聴けば聴くほど、その魅力に引き込まれていきます。
まるで「シー・オブ・ミラーズ」を浮遊しているようなサウンド体験。あなたも、ザ・コーラルの世界に飛び込んでみませんか?

ありがとう、ザ・コーラル! ありがとう、「シー・オブ・ミラーズ」!

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