ウィーザー「OKヒューマン」!泣きのオーケストラポップを今の君に。

B!

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、米ロックバンド・ウィーザー(Weezer)の新譜「OKヒューマン」です。

■OKヒューマン

米ロックバンド・ウィーザー(Weezer)が突如、新譜をリリースしました。
通算14枚目のスタジオアルバム、そのタイトルは「OKヒューマン」(原題:OK Human)です。

もともと彼らは、メタルバンドへのオマージュとなるロックアルバム「ヴァン・ウィーザー」を準備していました。
これがコロナ禍によって作業が中断。リリースが延期となります。


ヴァン・ウィーザー

代わりに制作が進められ、いち早く世に送り出されたのが、本作「OKヒューマン」です。
これまでアルバムをリリースする度、賛否両論を引き起こしてきた彼ら。このアルバムも、いろんな意味で波紋を呼ぶ異色作となっています。

何しろ、ウィーザー初のフル・オーケストラ・アルバム
38人ものオーケストラをフィーチャーして、とことんアナログ技術を駆使したレコーディングを行いました。

コンピューターだけでなく、彼らの最大の持ち味ともいえるエレキギターも封印…。
まさに「OKヒューマン」。とことんアナログに、とことん人の手にこだわって作品をつくり出しました。


OKヒューマン

これは、コロナ禍の今だからあえて、リアルの人と人のつながりが紡ぎ出す音にこだわったのでしょうか…。
さらに、「ヒューマン」な試みがこのアルバムに施されています。

それは、歌われる内容がきわめてパーソナルなものであること。
フロントマンのリヴァース・クオモは、本作がビーチ・ボーイズの名作「ペット・サウンズ」に影響されたことを明かしていますが、同作が内省的なアルバムであったように、「OKヒューマン」もリヴァースのパーソナルな心情が赤裸々に綴られています。

「僕が好きな歌はスローで悲しいものばかり」「ステイホームしていると気分が悪くなる」etc。
パンデミックがもたらした不安や寂しさ、閉塞感といった、リヴァースの生の感情が歌われているのです。

もちろん、泣きのメロディは健在。聴けば聴くほど、ツボにハマっていきます。
リアルな「ひと」だから、リアルな「今」だから、つくり出せる音楽がある…。
「OKヒューマン」は異色作でありながらも、今のウィーザーを示すとてもヒューマンなアルバムになっているのです。

■個人的なおススメ

それでは、そんなウィーザーのアルバム「OKヒューマン」から個人的なおススメです。

まずは1曲め「オール・マイ・フェイバリット・ソングス」(原題:All my Favorite Songs)。
いきなりのオーケストラに戸惑いますが、歌われているのはリヴァースの私的な悩み。
ウィーザー・ファンにはたまらない「うじうじ感」がさく裂します。歌詞はこんな感じ。

僕が好きな歌はスローで悲しいものばかり。僕の好きなひとは僕を怒らせることばかり。
良かったことがすべて、どんどん悪くなっていくんだ。僕はなにか悪いことしたかな…(ふゆき訳)

こんな歌詞が泣きのメロディで奏でられるんだから、ある意味ウィーザーらしい曲と言ってもいいかもしれません。
アルバムのリード・シングルです。

続いて2曲め「アル・ゴビ」(原題:Aloo Gobi)。
1曲めから流れるように始まるオーケストラ・ポップ。これまた泣きのメロディとヒューマンなメッセージがさく裂。

君は一人じゃない。誰かが君と一緒にいてくれる。君は一人じゃない。(ふゆき訳)

こんなやさしい言葉がやさしい弦楽器をバックに流れたら、もう泣いちゃうでしょ…。

そして11曲め「ヒア・カムズ・ザ・レイン」(原題:Here Comes The Rain)。
リズミカルなピアノから始まるロードムービーのような曲。サビで歌われるのはこんな歌詞。

雨が降ってきた。雨は僕の悩みをぜんぶ流し去ってくれるんだ。(ふゆき訳)

なんか救われる歌詞ですよね。辛いとき苦しいとき、この歌を聴いて乗り越えたいって思いました。

いやぁ、「OKヒューマン」…。異色作だけど、聴くほどにウィーザーらしさがにじみ出てくる好盤です。
おそらくこの後には、本作とは対照的なハードロックアルバム「ヴァン・ウィーザー」が出てきます。
さらに、あるインタビューでリヴァースは、4枚のアルバムの計画があると語っています。創作意欲が噴出しているみたい…。
2021年は、ウィーザー・ファンにとって、なんとも忙しい1年になりそうです

ありがとう、ウィーザー! ありがとう、OKヒューマン!

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