3/30はトレイシー・チャップマンの誕生日…名曲「ファスト・カー」を聴いてお祝い!

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こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、3/30はトレイシー・チャップマンの誕生日…名曲「ファスト・カー」を聴いてお祝い!です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■今日は何の日

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
3月30日の頁には、こんな出来事が記されていました。

【誕生日】トレイシー・チャップマン(1964)

トレイシー・チャップマン(Tracy Chapman)。覚えてるでしょうか?
1980年代後半に音楽シーンに登場するや、社会派のメッセージソングで強烈なインパクトを残したアーティストです。


グレイテスト・ヒッツ

1964年3月30日、彼女は労働者階級の多い米オハイオ州クリーブランドで生まれました。
トレイシーが4歳のときに両親は離婚。彼女は母親に育てられました。

子供の頃、彼女は人種差別による苛めを受けたそうです。それでも彼女には音楽がありました。
幼い頃からギターを手にすると、8歳のときには自分で曲を書けるようになりました

そんな彼女を見出したのが米エレクトラ・レコードです。
1987年に契約を結ぶと、翌1988年にデビュー・アルバム「トレイシー・チャップマン」をリリース。
貧困や差別などの社会問題をストレートに歌ったこのアルバムは大ヒットとなり、彼女は一気にスターダムに上りました。


トレイシー・チャップマン

この大ヒットをけん引したのが、シングル「ファスト・カー」です。
特に、ネルソン・マンデラの70歳の誕生日を祝うトリビュートコンサートに出演した彼女の歌声は、多くの共感を呼びました。
同曲は全米チャート6位の大ヒットとなり、グラミー賞など数々の評価を得る名曲となりました。

■ファスト・カー

それでは、そんな名曲「ファスト・カー」。どんな曲か紹介しましょう。
全米で大ヒットしたと言っても、キャッチーなポップソングではありません。
むしろ真逆。静かな弾き語りのフォーク・ロック。貧困や家族の問題など社会を風刺したメッセージ・ソングです。

歌詞は、まるで小説を読んでいるようなショート・ストーリー
主人公の女性は、今の環境から逃げ出したいと願っています。その姿は、トレイシーの前半生ともラップします…。

You got a fast car
I wanna ticket to anywhere
Maybe we make a deal
Maybe together we can get somewhere
Any place is better
Starting from zero, got nothing to lose
Maybe we'll make something
Me, myself, I got nothing to prove

あなたは速い車を持ってる
どこかに行くチケットが欲しいの
私たちならうまくやっていけるはず
二人一緒ならどこかに行けるはず
どこだってここよりはましよ
ゼロからのスタート 失うものは何もない
二人なら何かできるはず
だけど私一人では何もできないの
(ふゆき訳)

歌の途中で、彼女のすさんだ家庭事情が明かされます。
酒におぼれる父親と、父娘を捨てて家を出る母親…。彼女には出口の見えない人生だけが残りました。

See, my old man's got a problem
Give with the bottle, that's the way it is
He says his body's too old for working
I say his body's too young to look like his
My mama went off and left him
She wanted more from life than he could give
I said somebody's got to take care of him
So I quit school and that's what I did

知ってるでしょ 私の父親はどうしようもない男
酒ばかり飲んで それが現実なの
父は「もう年だから働けない」って言ってるけど
私は「そんな風になるには早すぎる」って言ってる
ママは父を置いて出て行ったわ
彼女は父といるよりマシな人生を送りたかったの
私は「誰かが父の面倒をみなきゃならない」って言ったのに
だから私が学校をやめたの それが私のしたこと
(ふゆき訳)

そして彼女は、貧困とすさんだ家庭から逃げ出して、恋人と新しい生活をはじめます。
しかし、彼女が望んだはずの新しい人生はやって来ませんでした…

You got a fast car
And I got a job that pays all our bills
You stay out drinking late at the bars
See more of your friends than you do of your kids
I'd always hoped for better
Thought maybe together you and me would find it
I got no plans, I ain't going nowhere
So take your fast car and keep on driving

あなたは速い車を持ってる
私は二人の生活を支えられる仕事を見つけたわ
あなたはいつもバーで遅くまで飲んでいる
子ども達よりも友達と会うほうが多いわね
私はいつも良くなることを願っている
二人一緒ならそれができると思ってた
私には計画もないし 行くあてもない
だからあなたの速い車に乗って このまま走り続けていくの
(ふゆき訳)

■Back to the 80s!

何ともやるせない歌詞ですね…。
「速い車」に乗って今の生活から逃れたはずなのに、また同じような荒んだ生活に戻ってしまう…
歌詞は、最後に「You gotta make a decision」(あなたは決断しないといけない)と、ダメな彼に変わる覚悟があるかと迫ります…。

それでは、そんな社会派メッセージソング「ファスト・カー」
聴いてください。Back to the 80s!Here We Go!

やるせない境遇を訥々と歌い上げるトレイシーの歌声は、一言一言が胸に突き刺さります。
彼女はこの歌でスターダムに上っても、それを嫌うかのように、その後も人権問題やチャリティライブに出演。
この「ファスト・カー」を歌い続けました。

ありがとう、トレイシー・チャップマン! ありがとう、ファスト・カー!

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