ザ・スミス「ミート・イズ・マーダー」!辛辣な歌詞をポップなギターサウンドに乗せて

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、ザ・スミス「ミート・イズ・マーダー」!辛辣な歌詞をポップなギターサウンドに乗せて…です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■今日は何の日

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
5月22日の頁を開くと、この人の誕生日であることが記載されていました。

【誕生日】モリッシー(1959)

モリッシー(Morrissey)。本名、スティーヴン・パトリック・モリッシー。
1959年5月22日に英ランカシャー州で労働者階級の家庭に生まれました。子供の頃から文学と1960年代ポップミュージックに傾倒したそうです。

そんな彼が一躍注目を集める契機となったのが、ジョニー・マー(Johnny Marr)との出会いでした。
1982年、モリッシーとマーは、後に伝説的バンドとなる「ザ・スミス」(The Smiths)を結成。1984年にデビューアルバム「ザ・スミス」をリリースします。
同アルバムは熱狂的なファン層から支持を受けて全英2位のヒットに。バンドは一躍全英が注目する存在となりました。


ザ・スミス

モリッシーはバンドのボーカルと作詞を担当。その独特なスタイルでバンドのカルト的な人気をけん引しました。
バンドはその後3枚のアルバムをリリース。「ミート・イズ・マーダー」(1985年)、「クイーン・イズ・デッド」(1986年)、「ストレンジウェイズ・ヒア・ウィ・カム」(1987年)もまた、全英チャート1位または2位を記録する大ヒットとなりました。

■ミート・イズ・マーダー

1980年代に熱狂的な支持を受けたザ・スミス。彼らが残した4枚のアルバムの中から、今日は2ndアルバムをとり上げましょう。
1985年2月にリリースされた「ミート・イズ・マーダー」(Meat Is Murder)。バンド唯一の全英1位を獲得したスタジオ・アルバムです。


ミート・イズ・マーダー

印象的なジャケット写真は、ベトナム戦争に従軍中の兵士。1967年に撮影されたものです。
元々ヘルメットに書かれていた文字は「Make War Not Love」(愛ではなく戦争をしろ)でしたが、「Meat Is Murder」(肉は殺人だ)に変更しています。

アルバムタイトルには食肉産業への批判が込められており、他にも政治的なテーマが盛り込まれた楽曲が多く収録されました。
これらシニカルな歌詞をつくるのがモリッシー。その歌詞をマーの作曲するポップなギター・サウンドに乗せることで、唯一無二のスミス・サウンドが出来上がりました。

■個人的なおススメ

それでは早速、ザ・スミスの2ndアルバム「ミート・イズ・マーダー」から、個人的なおススメを紹介しましょう。

まずは1曲目、「ザ・ヘッドマスター・リチュアル」(The Headmaster Ritual)。
直訳すると「校長の儀式」。このタイトルから分かる通り、歌詞はイギリスの教育制度を批判しています。
教師のことを「乱暴な連中」とか「セメントのような思考」「軍隊みたい」とか辛辣に批判。サビでは「家に帰りたい、ここにいたくない、こんなのが教育だなんて大きな間違いだ」と歌います。
モリッシーが経験した学校での体罰を元にしていると言われます。歌詞に出てくるマンチェスターでは同曲の演奏が禁止されました。

続いて8曲目、「バーバリズム・ビギンズ・アット・ホーム」(Barbarism Begins at Home)。
同じく体罰を扱った楽曲。今度は学校ではなく家庭内…児童虐待をテーマにしています。
歌詞は「手に負えない、成長しない男の子は躾けなければならない」「手に負えない、落ち着きのない女の子は躾けなければいけない」と、シニカルに家庭内の暴力的な「躾け」を批判
これら痛烈な歌詞がファンク調のメロディに乗って軽快に歌われます。ファンク風のベースラインとロカビリー風のギターが特徴的なナンバーです。

そして5曲目、「ザット・ジョーク・イズント・ファニー・エニモア」(That Joke Isn't Funny Anymore)。
アルバムの核をなすバラードナンバー。ワルツ風のリズムとマーの美しいギター、優雅なサウンドアレンジが印象的。
そして何よりも、モリッシーの切なくやさしいボーカルが曲を盛り上げます。歌詞は、孤独な人や自殺願望のある人を扱っていますが、難解です。
その辺りもスミスの魅力の一つでしょう。アルバムからの唯一のシングルとしてリリースされ、全英49位となりました。


いやぁ、ザ・スミスの2ndアルバム「ミート・イズ・マーダー」。その独特な世界観は、スミス・ファンをさらに深みに引きずり込みました。
なお、バンドは4枚のスタジオアルバムを残して1987年に解散。モリッシーとジョニー・マーはそれぞれソロ活動を続けています。

今日の夢中は、ザ・スミス「ミート・イズ・マーダー」!辛辣な歌詞をポップなギターサウンドに乗せて…でした。
ありがとう、ザ・スミス「ミート・イズ・マーダー」! 誕生日おめでとう、モリッシー!

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