こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、祝リリース30年!マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの名盤「Loveless」をとり上げます。
■今日は何の日
1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳。
11月4日の頁には、こんな出来事が記されていました。
【出来事】マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、シューゲイザーの金字塔的アルバム「Loveless」をリリース(1991)
なんと、あの衝撃的な名盤「Loveless」リリースから30年経つんですね…。
その名盤については、この「シューゲイザーの金字塔的アルバム」という表現がぴったり。
後に輩出される、ライドやペイルセインツ、チャプターハウスといった「シューゲイザー」と呼ばれるバンドたちのバイブルとなりました。
そんな後の音楽シーンに多大な影響を与えたバンド、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)。
実は、これまでにリリースされたスタジオ・フル・アルバムは3枚しかありません。
1988年にリリースされた「Isn't Anything」、1991年の「Loveless」、長い活動休止を経てリリースされた2013年の「MBV」の3枚です。
それでいて、これほどまでに崇拝されている理由は、その音楽の先鋭性にあります。
といっても、パンクのように反体制的な先鋭性ではなく、ピュアに音楽の持つ奥深さを解き放った先鋭性。後への影響を考えれば先進性と言っていいかもしれません。
目眩くノイジーなギター、音に一体化した男女のボーカル、ディストーションをかけた幻想的なサウンド…。
これまでのロックの範疇では収まり切らない耽美なサウンドを、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインはこの時代に産み落としたのでした。
■Loveless
その代表作にして、「シューゲイザーの金字塔的アルバム」と称されるのが、彼らの2ndアルバム「Loveless」(1991年)です。
アルバム制作に2年超を要し、制作に多大な費用をかけたことから、所属レーベルを破産寸前に追い込んだといういわくつきの作品。
実際に、アルバムを聴くと、ギターにボーカル、シンセ、サンプラーが幾重にも連なって分厚い音の壁となっているのが分かります。
バンドの中心人物ケヴィン・シールズはスタジオに籠り、様々な機材を用いて、執拗に音を録り重ねながら、この独創的なサウンドを創り上げました。
同時期に行われたEP「Glider」セッションでは、スタジオにいたスタッフたちが、フィードバックや逆回転を施したギターをひたすら重ねていく彼の行動を、ほとんど理解できなかったといいます。
特に、ギターのフィードバック・ノイズをサンプリングして重ねる手法は、後のフォロワーたちに大きく影響を与えました、
一聴すると轟音なのに、甘いメロディや囁くようなボーカルが重なると、幻想的な美音になるんですよね…。
30年経ってもその先鋭性は変わりません。
ケビン曰く「ロジカルな思考から外れたところにあったインスピレーションから導き出された」という作品。
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン「Loveless」。リリース30年を記念して、今日はこのアルバムを堪能しましょう。
■個人的なおススメ
それでは、シューゲイザーの金字塔的アルバムとなった、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン「Loveless」から個人的なおススメです。
まずは1曲め、「only shallow」。
これぞ、マイブラ・サウンド!ちなみに、「マイブラ」とは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのことです。
ギターノイズが紡ぎ出す幻想的なサウンド。甘く囁くような女性ボーカルがその耽美な音の世界を深めます。
唸りを上げるようなギター音は、一歩間違えると狂気の世界…。それが甘いメロディと儚げな歌声と交じり合ると、美麗なサウンドに変化します。これはハマります。
続いて5曲め、「when you sleep」。
アルバム随一(唯一?)のポップなナンバー。イントロのキャッチーなシンセ音が印象的。
バンドの魅力である男女のツイン・ボーカルの魅力も堪能できます。
ただ、聴き込んでいくと、重いギターの音だったり変調するベースだったり、一筋縄でいかない仕掛けに気づきます。
これもまた、マイブラ・サウンドの魅力ですね。
そして11曲め、「soon」。
アルバムのラストを飾るナンバー。淡々とリズムを刻むドラムに耳馴染みの良いギターリフとシンセ音。
そこに突如ノイジーなギターが絡み込んで、サウンドが一変します。美音と騒音の狭間の世界へ誘うマイブラ・サウンド。
女性ボーカルも印象的ですが、これはもはや楽器の一部ですね…。アルバムの先行シングルとしてリリースされました。
いやぁ、ものすごいな、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。そのサウンドの衝撃は30年経てもなお色褪せません。
ギターノイズの美学。ときに獣のように荒々しく、ときに管弦楽団のように美しく…。
祝リリース30年!今日の夢中は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン「Loveless」でした。
ありがとう、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン! ありがとう、「Loveless」!