元祖パワーポップ!"ビッグ・スター"傑作デビューアルバム「#1 Record」

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、元祖パワーポップ!"ビッグ・スター"傑作デビューアルバム「#1 Record」です。
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■ビッグ・スター

今日は、1970年代前半にカルト的な人気を博したバンド、ビッグ・スター(Big Star)をとり上げましょう。

ビッグ・スターは、1971年にテネシー州メンフィスで、アレックス・チルトン、クリス・ベル、 ジョディ・スティーヴンス、アンディ・ハメルの4人によって結成されました。
中心人物のチルトンは、米ポップグループ・ボックストップスのリード・シンガーを務め、16歳の時に「The Letter」で全米1位を獲得しています。彼がグループ脱退後に、友人のベルと結成したのがビッグ・スターでした。


#1 Record

バンド名は、バンドの4人がよく訪れていた食料品店の名前からとりました。その店のロゴに使われていたのが五芒星。
そのデザインをジャケットに採用した1stアルバム「#1 Record」は、1972年4月にリリースされました。このアルバムは熱狂的なレビューを受けましたが、レーベルのマーケティングがふるわず、商業的な成功を収めることができませんでした。

その不満はバンド内不和をもたらし、ベルがまもなく離脱。のちにハメルも脱退します。
バンドは1973年12月に2ndアルバム「Radio City」をリリース。これも批評家の称賛を受けましたが、またもレーベルの問題でセールスは沈黙
1974年秋に録音された3枚目のアルバムは商業的に採算が取れないと見なされてお蔵入りになると、バンドは1974年末に解散しました。


Radio City

■#1 Record

不遇のバンド、ビッグ・スター…。それでも、その後R.E.Mやリプレイスメンツなどがビッグ・スターの影響を口にしたことで、バンドの再評価が進みました。
今では「典型的なアメリカのパワーポップバンド」「ロックンロール界で最も神話的かつ影響力のあるカルトバンドの一つ」といった評価を受ける、ニッチなレジェンド・バンドとなっています。

今日は、そんなビッグ・スターの傑作デビューアルバムをとり上げましょう。
彼らの短いながらも後に大きな影響を及ぼす伝説のはじまり、1972年リリースの「#1 Record」から個人的なおススメです。

まずは1曲目、「Feel」
アルバムのオープニングを飾るアップテンポなポップ・ナンバー。クリス・ベルの作品でリード・ボーカルもベルです。
ビートルズ風のポップなメロディとギター、ハーモニーが存分に楽しめる楽曲。後の楽曲「Thirteen」でも触れますが、ベルもチルトンもビートルズに大きな影響を受けました。
1stアルバムではメンバー全員が楽曲づくりやボーカルを担当しましたが、2人はビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニーのように意図的にデュオで主導権を握ったと言われます。ビッグ・スターのレノン=マッカートニー、ベル=チルトンの爆誕です。

続いて2曲目、「The Ballad of El Goodo」
美しいギターの音色から始まるバラード・ナンバー。こちらは、アレックス・チルトンの作品でリード・ボーカルもチルトンです。
やさしいギターの音色に美しいメロディが絡み合う名曲。チルトンのメイン・ボーカルに合わせられるベルのハーモニーも美しい…。
ドラマーのスティーヴンスは、チルトンの荒々しくエッジの効いた曲に、ベルが甘い響きのバック・コーラスを加える様子を、インタビューで懐かしく語っています。

そして4曲目、「Thirteen」
ビッグ・スターのレノン=マッカートニー、アレックス・チルトンとクリス・ベル。彼ら2人が共通して影響を受けたのがビートルズでした。
彼らは13歳の時に、地元メンフィスでビートルズの演奏を観て強い感銘を受けます。その衝撃をもとにチルトンがつくったのがこの曲「Thirteen」です。
13歳の日々が思い起こされるような瑞々しいアコースティック・サウンド。「Rock and roll is here to stay」(ロックンロールはここにずっとある)のようなピュアな思いも歌詞に綴られています。


いやぁ、すばらしいアルバムですね。伝説的なニッチバンド、ビッグ・スターの傑作デビューアルバム「#1 Record」です。
重ね重ね、この傑作アルバムがレーベルの問題によって広く普及しなかったのが残念でなりません。そのせいで、クリス・ベルがバンドを脱退…。
レノン=マッカートニーにも匹敵するデュオ、ベル=チルトンはこのアルバムを持って幕を閉じました

しかも、ベルは1978年に交通事故で急逝(享年27)。バンドの再評価後も、チルトンとのデュオ再結成は叶いませんでした。
今日の夢中は、元祖パワーポップ!"ビッグ・スター"傑作デビューアルバム「#1 Record」でした。

ありがとう、ビッグ・スター! ありがとう、デビューアルバム「#1 Record」!

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