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館長のふゆきです。
今日の夢中は、エコー&ザ・バニーメン「ポーキュパイン」!暗鬱さと美しさが共存する耽美なギターロックです。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。
■ポーキュパイン
1978年、英リヴァプールで結成されたエコー&ザ・バニーメン(Echo & The Bunnymen)。
イアン・マッカロク(Vo)、ウィル・サージェント(Gt)、レス・パティンソン(B)、ピート・デ・フレイタス(Dr)の4人組で、ポストパンク/ニューウェイヴ期を代表するバンドのひとつです。
デビュー当初からダークで耽美なサウンドと歌詞で注目され、1981年リリースの「ヘブン・アップ・ヒア」(Heaven Up Here)が全英10位にランクイン。
UKロックシーンに一躍その名を知られる存在となり、若いファンを中心に熱烈な支持を集める人気バンドとなりました。
バンドは1982年に次作のレコーディングに入ります。プロデューサーには1stアルバム「クロコダイルズ」のイアン・ブロウディを再び招聘。
順調に進むかと思われたアルバム制作ですが、この間メンバー間の関係が悪化して緊張状態に陥り、マッカロクは当時を「最悪だった」と振り返っています。
完成したアルバムはレーベルから「商業的ではない」と却下され、バンドはアルバムの再録音に踏み切ります。
こうした紆余曲折を乗り越えてバンドは再録音に集中。再集結して取り組んだレコーディングは比較的スムーズに進んで、ようやく新作「ポーキュパイン」(Porcupine)は完成。1983年にリリースされました。
アルバムははじめ音楽メディアから否定的な批評が寄せられますが、やがて同アルバムを支持する声が上回るようになります。
「最もダークな作品」という一部の批評も彼らにとっては賛辞だったのでしょう。音楽ファンからも熱烈な支持を集め、同アルバムは全英チャート2位の大ヒットとなりました。
■個人的なおススメ
それでは、エコー&ザ・バニーメンの3rdアルバム「ポーキュパイン」から、個人的なおススメです。
まずは1曲目、「The Cutter」。
アルバム発表直前にリリースされたシングルで全英チャート8位を獲得したヒットナンバー。バンドの代表曲に数えられる名曲です。
冒頭から印象的なシタールの音色が響く独特な世界観。本作ではインド音楽家のシャンカールが招かれストリングスを追加録音しています。
これにより彼らの持ち味であるダークなサウンドに磨きがかかったよう。疾走感と瞑想感のあるエコバニならではのロックナンバーです。
続いて2曲目、「The Back of Love」。
アルバムリリースの9か月ほど前、イアン・ブロウディのプロデュースでリリースされていたシングル曲。全英19位を獲得しました。
このときはその後のアルバム制作が難航するとは思っていなかったでしょう…。アグレッシブなギターと焦燥的なリズムにバンドの勢いを感じます。
ダークな世界観はこの曲でも健在。ポップでひねくれてて一筋縄ではいかない…マッカロクは唯一無二のソングライターですね。
そして5曲目、「Porcupine」。
アルバムのタイトル曲にして、本作のムードを象徴するような1曲。暗鬱さと美しさが共存する耽美なサウンドが印象的です。
一聴して、アルバムのジャケット写真が思い浮かびました。こちらはアイスランドの凍ったグトルフォスの滝近くで撮影されました。
この極寒の風景が、このアルバムの静謐さと孤高さを際立たせます。マッカロクの声は氷の滝から降ってくるように聴こえます。
いやぁ、久しぶりに聴き込みましたが、その独特な世界観はいま聴いても圧倒的。唯一無二のサウンドに引き込まれます。
初期エコバニのクライマックスという評価があるのも納得の作品です。今日の夢中は、エコー&ザ・バニーメン「ポーキュパイン」!暗鬱さと美しさが共存する耽美なギターロックでした。
ありがとう、エコー&ザ・バニーメン! ありがとう、アルバム「ポーキュパイン」!