こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、天使の歌声と奇跡のフィドル。16歳のアリソン・クラウスが鳴らした奇跡のデビュー作「Too Late To Cry」です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。
■今日は何の日
1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
7月23日の頁には、こんな出来事が記されていました。
【誕生日】アリソン・クラウス(1971)
いまやグラミー賞を27回も受賞し、アメリカン・ルーツ・ミュージックの女王として君臨する歌姫、アリソン・クラウス(Alison Krauss)。
今回は、そんな彼女の55回目の誕生日を祝して、記念すべき出発点を紹介しましょう。
それが、当時わずか16歳だった彼女が世界に放ったデビューアルバム「Too Late To Cry」。瑞々しくも胸を締め付ける名盤です。
たぶん、ブルーグラスというアメリカの伝統的ジャンルの音楽を聴いたのは、彼女が初めてだったと思います。
その歌声とサウンドは、とてつもなく優しくて、ときに切なくて、こんな音楽があるんだと、胸の奥がじんわり熱くなったのを今でも覚えています。
アルバム「Too Late To Cry」は1987年、アリソンが16歳のときに名門インディーズレーベル「Rounder Records」からリリースした作品です。
アルバム全体のコンセプトを一言で表すなら、「伝統と新しい感性の融合」。アコースティック・ギター、マンドリン、バンジョー、そして彼女のフィドルが織りなすサウンドは、伝統的なブルーグラスのスタイルを硬派に守っています。
しかし、そこにアリソンのボーカルが乗った瞬間、音楽が急にモダンで、現代の私たちにも伝わるリアルな手触りを持って動き出します。
16歳とは思えないほど大人びた、どこか哀愁を帯びた表現力。その一方で、少女にしか出せない無垢な響きが同居しているのが、本作の最大の奇跡です。
失恋の痛みや、人生の哀愁を歌った曲が多いのですが、重苦しさは一切なく、聴き終わった後には心地よい余韻だけが残ります。
■個人的なおススメ
それでは、そんなアリソン・クラウスの奇跡のデビューアルバム「Too Late To Cry」から、個人的なおススメです。
まずは1曲目、「Too Late To Cry」。
アルバムのタイトル曲であり、本作のハイライトを成すオープニングナンバー。イントロの切ないフィドルの音色から、一気にアリソンの世界観に引き込まれます。
聴きどころはなんといっても、サビでの彼女のボーカルの伸びやかさです。優しく語りかけるようなAメロから、感情が溢れ出すようなサビへの展開は鳥肌モノ…。
恋の終わりを歌っているのに、ため息が出るほどの透明感。聴き手の心の傷をそっと癒やしてくれるような不思議な包容力があります。
続いて2曲目、「Foolish Heart」。
スローな出だしから、伸びやかなアリソンのボーカルが加わると、一気に軽やかなブルーグラスのナンバーへと世界が変わります。
この曲でも、アリソンのキュートな歌声が最高に心地いい…。悲しい歌詞のはずなのに、聞いていると心が弾むような気持ちになります。
演奏陣の細やかで軽快なアンサンブルも聴きどころ。ドライブのBGMにもぴったり。この曲を聴いていると、アメリカのカントリーロードを走りたくなります。
そして5曲目、「If I Give My Heart」。
アルバムのなかでも、ひと際胸を締め付けるような切なさと、言葉にできないほどのピュアさが同居した至高のラブソングです。
「If I give my heart to you tonight,will you still be my side?」(もしもこの心をあなたに捧げたら、ずっと私のそばにいてくれる?)
大人びた少女の傷つきやすく繊細な恋心が、アリソンの天使の歌声で歌われた瞬間、聞いているこちらの胸までキュンと切なくなってしまいます。アルバム屈指の美しさを誇る名バラードです。
「Too Late to Cry」は、アリソン・クラウスという歌姫のデビュー作という価値を越えた、音楽史に残るピュアな傑作です。
派手な電子のビートや歪んだエレキギターの音色はありません。そこにあるのは、木と弦が触れ合う温かい音と、人間の生の歌声です。だからこそ、リリースから何十年経った今でも、少しも古びることなく私たちの心に響くのかもしれません。
今日の夢中は、天使の歌声と奇跡のフィドル。16歳のアリソン・クラウスが鳴らした奇跡のデビュー作「Too Late To Cry」でした。
ありがとう、「Too Late To Cry」! 誕生日おめでとう、アリソン・クラウス!