レディオヘッド「In Rainbows」!昏睡状態になる前に動きだせ…新たな音楽体験へ

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こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、レディオヘッド「In Rainbows」!昏睡状態になる前に動きだせ…新たな音楽体験へ…です。
「夢中図書館 音楽館」は、ロックの名盤や新譜、個人的な愛聴盤などをレビューする音楽ブログです。あなたのお気に入りの音楽を見つけてください。

■今日は何の日

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。
10月10日の頁には、こんな出来事が記されていました。

【出来事】レディオヘッド、購入価格を自分で決められるアルバム「In Rainbows」のダウンロード販売を開始(2007)

レディオヘッド(Radiohead)は、1985年に結成されたイギリスのロックバンドです。
1992年に1stアルバム「パブロ・ハニー」(Pablo Honey)で注目を集めると、2ndアルバム「ザ・ベンズ」(The Bends)(1995年)でその人気を不動のものに。
さらに「OK コンピューター」(OK Computer)、「キッドA」(Kid A)など問題作にして大ヒット作を生み出し、音楽シーンに欠かせざる存在となっています。


OK Computer

そんな彼らが2007年にリリースした7枚目のスタジオアルバムが、今日紹介する「In Rainbows」です。
新作をリリースするたび実験的な試みでシーンを驚かす彼らですが、本作ではそのリリース方法が話題となりました。

それが、リスナーが購入価格を自由に決められるようにしたこと、そしてインターネット上でのダウンロード販売としたことでした。
なんとも画期的ですね…。前者については、全ての音楽の価値が一律であることに対する問題提起とされています。実際にこの手法は多くのメディアで取り上げられ「革新的」「顧客との新たなコミュニケーション」と賞賛される一方で、「若手や新人の芽を摘む」と批判されたりもしました。


In Rainbows

後者のダウンロード販売については、彼らの意図はそれを促進しようというのではなく、毎回アルバム発売前にネット上で違法リークされてしまうことへの警鐘とされています。
さらには、一般リスナーとメディアが同時に音源を耳にすることにより、先入観を持たずに判断できるようにする意図もあったと言われます。

そんな画期的なリリース方式をとった「In Rainbows」は、その後店頭販売もされるようになり、全英・全米共にアルバムチャート1位を獲得する大ヒットアルバムとなりました。
何よりも楽曲そのものがいいんだよね…。音楽的にも、前作までのエレクトロニカやギターロックなど多彩なスタイルをうまく扶育した感じ。やさしく繊細に、時に攻撃的に電子的に…。このときのレディオヘッドの音楽的な志向がよく伝わる名盤となっています。

■個人的なおススメ

それでは、そんなレディオヘッドの7thアルバム「In Rainbows」から、個人的なおススメです。

まずは、2曲め「Bodysnatchers」
不穏なギターのリフではじまるロックナンバー。そこに危うげなボーカル、叫びのようなギター音が積み重なり、唯一無二のサウンドに。
途中、電子キーボードの音色が加わりドリーミーに転調したかと思うと、終盤はテンポを上げてより攻撃的なサウンドに変貌をとげます。
すげぇな、レディオヘッド…。ハマる人が多いのもよく分かる病みつきサウンド。アルバムからの3rdシングルです。

続いて、3曲め「Nude」
長らく幻の未発表曲とされていたナンバー。10年もの間、彼らのライブで演奏されながらリリースされることのなかった曲。
なんでも、3rdアルバム「OK コンピューター」のときに初期バージョンが録音されましたが、結果に満足いかず見送り。その後のアルバムセッションでも同様に収録が見送られてきた楽曲です。
それがついに本作で日の目を見ることになりました。新たにベースラインが加えられたことが楽曲の完成度を高めたよう。トム・ヨークのファルセット・ボイスも妖しげな魅力を放っています。

そして、9曲め「Jigsaw Falling into Place」
アルバムからの1stシングル。ギターのクリーンな音色とは対照的に、ヨークの危うげなボーカルがサウンドの不穏さを増していきます。

"Before you're comatose"(君が昏睡状態になる前に)
"Come on and let it out"(ここに来て吐き出すんだ)
"Wish away the nightmare"(悪夢をふり払え)

歌詞は男女の情事を歌っているようですが、次第に描写も歌声も熱を帯びていきます。まるでヨークが何者かに憑かれたよう…。そして僕らもレディオヘッドに取り憑かれていくのです。


いやぁ、強烈ですね、レディオヘッド…。当時の状況をみると、前作でEMIとの契約が切れた彼らは、メンバーがソロ活動を行うなど、バンドの重大な転機を迎えていたことが分かります。
解散…そうしたものもちらついていたのかもしれません。そんな中で制作が進められたアルバムは、奇跡的にバンドの唯一無二のケミストリーを再確認させるものとなりました。

今日(10月10日)は、レディオヘッドが購入価格を自分で決められるアルバム「In Rainbows」のダウンロード販売を開始した日(2007)。
彼らの転機に生み出された画期的な名盤「In Rainbows」をとり上げました。ありがとう、レディオヘッド!ありがとう、「In Rainbows」!

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