こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、英ロック・バンドのジーザス&メリー・チェインの2ndアルバム 「ダークランズ」を取り上げます。
■今日は何の日
1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳。
10月28日の頁には、こんな出来事が記されていました。
【誕生日】ウィリアム・リード(ジーザス&メリー・チェイン:1958)
80年代突如現れて、攻撃的なノイズ・サウンドで音楽シーンに衝撃を与えたバンド、ジーザス&メリー・チェイン。
通称ジザメリ。中心メンバーは、ウィリアムとジムのリード兄弟。10月28日は、兄ウィリアムの誕生日でした。
ジザメリが音楽シーンに登場したのは、1984年のこと。
シングル「アップサイド・ダウン」で衝撃のノイズ・ロックを披露すると、若者たちの支持を得て英インディー・チャート1位を獲得します。
さらに翌年リリースの1stアルバム「サイコキャンディ」でブームに火がつきます。
フィードバック・ノイズを前面に出した扇動的なギター・ロック・サウンドは、「セックスピストルズ以来の衝撃」として異様な熱狂を呼びました。
■ダークランズ
こうした熱狂をよそに、バンドは憔悴していきました。
作品が売れるほどにかけ離れていく、メディアがつくり上げる虚像と本当の自分…。それは彼らの精神を大きく蝕みました。
ときに自殺を口にするほどどん底状態のときに制作されたのが、2ndアルバム「ダークランズ」(1987年)でした。
一聴して分かる変化…。そこには、前作でかき鳴らされていたフィードバック・ノイズがありません。
象徴的なのは、オープニング・ナンバーの「ダークランズ」です。
もの悲しいギターの音色と壊れそうな歌声。攻撃的なノイズをかき鳴らした1stとはまるで異なる、儚くも甘美なメロディ…。
前作の路線を引き継いで、ノイジーな音をかき鳴らしていれば、変わらぬ評価を得られたはず。
それを捨てても彼らが奏でたかったのは、ノイズを取り払ったメロディアスなサウンドでした。アルバムは、等身大のジザメリをさらけ出しました。
結果的に、この路線変更は成功しました。アルバムは全英5位となる大ヒットに。
絶望状態の彼らは、このアルバムをつくることで「癒し」を得たのかもしれませんね。
その後も彼らは、ダークランズでつくり出した、ダークで甘美なポップロックという独自のサウンドを進化させ続けています。
「オートマティック」(1989年)、「ハニーズ・デッド」(1992年)などを相次ぎリリース。一時解散しますが再結成を果たし、2017年に7thアルバム「ダメージ・アンド・ジョイ」をリリースしています。
■個人的なおススメ
ジーザス&メリーチェインのターニングポイントとなった2ndアルバム「ダークランズ」。
そのタイトル曲を歌っているのが、ウィリアム・リードです。
今日は彼の誕生日ということで、2ndアルバム「ダークランズ」の中から、個人的なおススメを紹介しましょう。
まずは、もちろん1曲め、「ダークランズ」です。
前作のイメージを刷新、フィードバック・ノイズを捨て去り、驚くほどに脆く優しく紡ぎ出されるギターとボーカル。
いずれもウィリアムによるものです。多くの曲でリードボーカルをとるジムに比べると、とっても弱々しい…。
歌詞も絶望感に満ちています。「人生に意味なんて無いんだ」「天国は地獄に最も近い」「俺は死に向かっている」…。
それでも歌わずにはいられなかったのでしょう。ウィリアムの苦しさを吐き出すような、癒しのナンバーです。
続いて3曲め、「ハッピー・ホエン・イット・レインズ」。
こちらも、前作では想像できなかった、驚くほどポップなナンバーです。
メロディメイカーなんだよね、リード兄弟は。こちらは弟ジムのボーカル。彼の低音ボイスとポップなメロディが絡み合います。
次作以降にも続く、ダーク&甘美なジザメリ・サウンド炸裂です。
そして6曲め、「エイプリル・スカイズ」。
そんなジザメリ・サウンドの先駆けとなったのがこの曲です。アルバムの先行シングルとしてリリースされました。
破壊的なノイジー・サウンドを期待してたファンは驚いたでしょうね。ただ一方で、このサウンドに彼らの新しい魅力を感じたはず。
この曲は、全英8位となりバンド最大のシングル・ヒットとなりました。今もライブで演奏される名曲です。
いやぁ、やっぱりいいですね、ジザメリ・サウンド。
このダーク&甘美な音の世界は、一度ふみ入れるとどっぷりとハマってしまいます。
貴方も、今日紹介した曲で気に入った曲があったなら、思い切って踏み入れてみませんか?ジザメリが誘う「ダークランズ」へ…。
今日は、ウィリアム・リードの誕生日ということで、バンドの大きなターニングポイントとなった2ndアルバム「ダークランズ」をとり上げました。
誕生日おめでとう、ウィリアム・リード! ありがとう、ダークランズ!