ブラー6thアルバム「13」!さらなる深淵へ…ノイズと苦しさが溶け合う美しき混沌

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、ブラー6thアルバム「13」!さらなる深淵へ…ノイズと苦しさが溶け合う美しき混沌です。
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■ブラー「13」

「ブリットポップは死んだ」——。前作で、ブリットポップとの決別を宣言した、デーモン・アルバーンとブラー。
彼らが、その次に足を踏み入れたのは、あまりにも深く、複雑な精神の深淵でした。

1999年にリリースされた6枚目のアルバム「13」。ここで鳴らされているのは、きらびやかな成功の影でバンドが直面していた、剥き出しの「苦しさ」そのものです。
しかし、その混沌とした音の渦に身を委ねてみると、不思議と、これまでになく澄み切った「美しさ」に出会うことができます。


13

この時期、デーモン・アルバーンは、長年の恋人であったジャスティン・フリッシュマンとの破局という、人生最大の苦しみに直面していました。
その痛みは、バンドの音楽性をかつてないほど内省的なものへと変貌させます。

同時に、ギタリストのグレアム・コクソンとの音楽的な主導権争いや、メンバーそれぞれの精神的な疲弊もピークに達していました。
レコーディング・セッションは極度の緊張状態…。スタジオに誰も来ないこともあったのだとか。皮肉なことに、この「バラバラになりそうな絆」が、本作に奇跡的な生命力をもたらしました。


13(レコード盤)

バンドは、そうした「混沌」をあえて整えることをしませんでした。そのサウンドは、ゴスペルやサイケデリック、ノイズあるいはエレクトロニカと多岐にわたります。
そしてバンドは、張り詰めた空気と溢れ出す感情を、音盤にそのままとじ込めました。歌われるテーマは、孤独や喪失、後悔、そしてわずかな希望…。

一見するとバラバラになりそうな「苦しさ」を孕んだサウンドですが、その奥底には、かつてないほど純粋で、無垢なメロディが息づいています。
「混沌」の果てに辿り着いた美しさ…。アルバム「13」は、もがき苦しんだブラーがようやく手にした、最も誠実な音楽の形なのでしょう。

■個人的なおススメ

それでは、そんなブラーの6thアルバム「13」から、個人的なおススメです。

まずは1曲目、「Tender」
アルバムの幕開けを飾る、あまりにも優しく、そして痛切なアンセムです。デーモンの震えるような歌声と、それを包み込むようなゴスペルの響き
「Love's the greatest thing」(愛こそが最高のものだ)という歌詞は、どん底の自分を繋ぎとめるための祈りのように響きます。
グレアムのギターも、時にやさしく、時に残酷に突き刺さります。7分半を超える、ブラー渾身の祈りのナンバー。圧巻です。

続いて3曲目、「Coffee & TV」
グレアムがボーカルを務める、歪んだギターとポップなメロディが同居するナンバー。
社会や人間関係からそっと離れて、「自分だけの平穏」を求めるような歌詞は、現代を生きる私たちが抱える「苦しさ」にそっと寄り添ってくれます。
間奏で暴れるギターのノイズは、グレアムやブラーの不器用さと攻撃性を示しているよう。健気な牛乳パックが登場するMVもクールです。

そして12曲目、「No Distance Left to Run」
アルバムのクライマックスを成す、究極の別れのバラード。デーモンが自身の私的な痛みを一切の装飾なしに歌い上げています。
恋の終わりを認め、相手の幸せを願う歌詞は、聴いているこちらの胸まで締め付けられるほど…。
余計な音を削ぎ落した静謐なサウンドが、深く強く胸に染みわたります。苦しみの果てに訪れた美しさ…。このアルバムの核心に触れるような楽曲です。


強烈なアルバムです。ブラーの6枚目となるスタジオアルバム「13」
そこには、ブリットポップでスポットライトを浴びていたブラーはいません。
ブリットポップの狂騒に疲れ果て、私生活でも大切なものを失った者が、かき鳴らす生々しい音の塊
そのサウンドは、苦しさと痛みを伴いながらも、儚い美しさに満ちていました。

今日の夢中は、ブラー6thアルバム「13」!さらなる深淵へ…ノイズと苦しさが溶け合う美しき混沌でした。
ありがとう、ブラー! ありがとう、アルバム「13」!

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