イーグルス「ロング・ラン」!成功の裏側にある孤独と葛藤…長い道のりを経て辿り着いた名盤

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、イーグルス「ロング・ラン」!成功の裏側にある孤独と葛藤…長い道のりを経て辿り着いた名盤です。
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■今日は何の日

1日1頁、その日に起きた出来事やミュージシャンの誕生日などが記載されているタワレコ手帳(現在は製造中止…)。

10月30日の頁には、こんな出来事が記されていました。

【誕生日】ティモシー・B・シュミット(1947)

ティモシー・B・シュミットは米カリフォルニア出身のミュージシャン。ソロのキャリアもありますが、やはりその名はイーグルスのベーシストとして知られます。
彼がイーグルスに加入したのは1978年のこと。「ホテル・カリフォルニア」ツアー後、ランディ・マイズナーの脱退に伴い、その後釜としてバンドに加わりました。

1979年、イーグルスは6枚目のスタジオ・アルバム「ロング・ラン」(The Long Run)をリリースします。
これが、ティモシーが参加した最初のイーグルスのアルバムであり、その後バンドは一時解散するため、第1期イーグルスの最後のアルバムとなりました。


ロング・ラン

このアルバムの制作は、非常に難航したことで知られています。前作「ホテル・カリフォルニア」の大成功を受けて、メンバーにかかる重圧は尋常ではありませんでした。
当初ダブルアルバムの予定でしたが、バンドが十分な楽曲を生み出せずに構想は白紙に…。ドン・ヘンリーは当時を「完全に燃え尽きていた」と回顧しています。

難産となったアルバムを象徴するようにレコーディングは5つのスタジオで約1年半に及びました。
それでもティモシーがリードボーカルをとった「言いだせなくて」(I Can't Tell You Why)や、ボブ・シーガーやJD・サウザーと共作した「ハートエイク・トゥナイト」など新たな風がバンド吹き込まれ、アルバムはこれまで以上に多彩で濃密な作品となりました。

イーグルスのアルバム「ロング・ラン」は、初登場2位を記録すると、翌週には1位を獲得。
前作に続いて多くのファンから支持を受け、その後9週にわたり1位を維持する、まさにロングラン・ヒットを記録するアルバムとなりました。

■個人的なおススメ

それでは、そんなイーグルスの6枚目のスタジオ・アルバム「ロング・ラン」から、個人的なおススメを紹介しましょう。

まずは1曲目、「ロング・ラン」(The Long Run)。
アルバムのオープニングを飾るタイトルトラック。アルバムからの2ndシングルとしてリリースされ全米8位を記録しました。
作詞作曲はドン・ヘンリーとグレン・フライ。ドンはこの曲について、当時ディスコやパンクが台頭しバンドが「時代遅れ」と言われることに対抗したと言っています。
歌詞に「誰が成功するのか、長い目で見れば分かるだろう」とあるのは彼らの心のうちを表したものでしょう。ドンのハスキーボイスも魅力的です。

続いて2曲目、「言いだせなくて」(I Can't Tell You Why)。
本作から加入したティモシー・B・シュミットがバンドに持ち込んだナンバー。グレン・フライとドン・ヘンリーの協力を得て見事なバラードに仕上がっています。
ティモシーはインタビューで、この曲をグレンとドンと一緒に徹夜のセッションを何度か重ねたことを語っています。ドンはティモシーに「これが君の最初のヒット曲だ」と言ったそうです。
その言葉通り、同曲はアルバムからの3rdシングルとしてリリースされ全米8位を獲得しました。ティモシーのハイトーンで繊細な歌声が、叶わない恋の切なさを完璧に表現しています。

そして6曲目、「ハートエイク・トゥナイト」(Heartache Tonight)。
アルバムからの1stシングルであり、全米1位を獲得した楽曲。彼らの楽曲のなかでも特にグルーヴ感が強く、R&Bやソウルのエッセンスが感じられます。
特にグレン・フライの熱いボーカルと、彼らの代名詞ともいえるシャウト気味のコーラスの掛け合いは圧巻。アルバムのハイライトを成す一曲です。
ドン・ヘンリー、グレン・フライ、ボブ・シーガー、JDサウザーの共作。グラミー賞で最優秀ロックパフォーマンス賞を受賞しました。


アルバム「ロング・ラン」は、イーグルスという偉大なバンドが、ホテル・カリフォルニアの重圧に直面しながらも「それでも走り続ける」と力強く宣言した作品です。
そこには成功の裏側にある孤独や葛藤、そしてそれでも手放せない音楽への情熱が込められています。疲弊したバンドにとって、ティモシーという新しい風が加入したこともプラスになったことでしょう。第1期イーグルスの最後を飾る傑作アルバムです。

今日の夢中は、ティモシー・B・シュミットの誕生日を記念して、彼がイーグルスに参加した最初のアルバム「ロング・ラン」をとり上げました。
誕生日おめでとう、ティモシー・B・シュミット! ありがとう、アルバム「ロング・ラン」!

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