65歳スティングのロックアルバム「ニューヨーク9番街57丁目」

スティングは、今年で65歳になるそうです。
もはや「元ポリスの」という形容詞のほうが、「何それ?」という感じかもしれません。

■40歳のバースデー・ライブ

この前、BSテレビで、彼のライブを見る機会がありました。
「伝説のライブ in L.A」。今から25年前、彼の40歳の誕生日を記念したコンサートです。

このライブを見てあらためて思ったのは、ハスキーでツヤのある声もそうですが、彼のベーシストとしての腕前です。
着実にリズムを刻みながら、ときにギターから主役を奪うかのようにベースが走ります。
ピックを使わずに、指で弦を弾く。親指、人差し指、中指と、指が踊ります。

リズム部隊の力強さに、自由な旋律を弾くピアノが加わって、それはロックというよりも、ジャズ・コンサートのようなテイストでした。

さて、そんなライブを見たあとに、今回の最新アルバムを聞くと、きっとみんな思うのではないでしょうか。
「スティング、若くなったな~」って。

■最新作「ニューヨーク9番街57丁目」

2016年11月に発表した最新作「ニューヨーク9番街57丁目」
アルバムタイトルは、このアルバムをレコーディングしたスタジオの近くの街角からとったそう。

本人もコメントしているのですが、これは「ロックンロールのレコード」です。
インタビューで彼は次のように言っています。
「次にみんなを驚かせるとしたら何だろう?それならロックンロールのレコードだ。聴いた人は予想外だと思うだろう。」

確かに。でも嬉しいサプライズなんですよね、個人的には。スティングがロックに帰ってきた!
1曲目の「アイ・キャント・ストップ・シンキング・アバウト・ユー」から、時を遡ったかのような若々しい歌声と演奏を聴くことができます。
まさに原点に戻ったロックンロール。
歌詞は作家の苦労を綴っているそう。ロック詩人、スティングの気持ちがこもっています。

2曲目の「50,000」も、イントロのギターからしてロック全開で、サビの盛り上げ方も職人技。さすがスティング。
その後も「ワン・ファイン・デイ」や「ペトロール・ヘッド」など、特に前半は力強いロックが続きます。

後半になると、「大人」スティングお得意の、スロー&メロウな「インシャラ」なんかがあって、彼の世界に引き込まれます。
同じインタビューでスティングは、次のようにも言っています。
「このアルバムにはコンセプトがない。曲がそれぞれ独立していて、いわば10編の短編小説だ。」

そして、その10編がつなぎ合わされると、自分(スティング)自身になると。

あまり肩肘張らずに、自分の音楽への思いをありのままに歌にした。そうしてできた10曲なんでしょうね。
すばらしいアルバム、傑作です。

ウェルカムバック・トゥ・ロックンロール!スティング!

(追加です)

ところで、BSテレビのライブですが、
「セット・ゼム・フリー」や「フラジャイル」などのソロ時代の曲が中心ですが、やはり惹かれるのは、忘れられた形容詞になりつつある「元ポリスの」時代の曲。
「ロクサーヌ」は、当時はパンクの部類だったけど、40歳のスティングがやるとジャズっぽくなるのが不思議です。これまたベースが走ります。

「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」で「元ポリスの」盟友アンディ・サマーズが登場し、オールド・ファンを泣かせます。
そして名曲「見つめていたい」。朽ちることのない、心を揺さぶるメロデイと歌詞。音楽の世界遺産ですね。
BSが「伝説のライブ」と銘打っている通り、上質な大人のロックを堪能できました。

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